丹桂と折桂

志野流の聞香炉一対には、側面に三つの画と三つの文言が書かれている染付のものがあります。

聞香炉

一つには
丹桂一枝香
教子一経
厭獨坐帳幃中

もう一つには
折桂一枝香
教子一経
厭獨坐帳幃中

と書かれています。

二つの文言の違いは、「丹桂」と「折桂」の違いです。

丹桂の丹は赤いと云う意味もあり、丹桂は樹皮の赤い桂ということになりそうですが、月の中にある桂の木という意味もあり、謎めいた言葉です。
直訳すれば、丹桂の木は一枝でも香ると云うことでしょうか。

折桂は、文字通り折った桂と云うことでしょうから、直訳すれば、桂の木は一枝を折れば香ると云うことになりますが、折桂には官吏登用試験に及第することという意味もあり、これまた謎めいた言葉です。

そもそも、これら一対の香炉がいつ頃から使われているのか、大いに興味のあるところですが、寡聞にして知りません。(o^-^o)

なお、乱箱に対香炉を入れて最初に運び出すとき、香元から見て左側に丹桂の香炉、右側に折桂の香炉を入れるようにと聞いた覚えがあります。