「父は家元」から

茶道・遠州流の映画「父は家元」のTV録画DVDが、ひょんなことから昨年手に入り、何回か繰り返し見てきました。

武家茶道を今に伝える遠州流の一年を追ったもので、見るたびに新しい発見があり、飽きることのない映画でした。

その中で、炉開きの際に炉の中に何かを撒いて柏手を打つシーンがあり、他流派のことながら、何をしているんだろう?と長らく疑問に思っていましたが、たまたま読んだ『綺麗さびの茶』(小学館)という本に、儀式の事が書いてありました。

塩と御洗米(洗い米)、そして鰹節を用意し、塩で清めてから山と海を代表する物(米と鰹)をお供えすると云うものでした。

手順としては、炉の中の釜を上げて炉中を直し、下火の周囲に塩をす~と撒き、洗米を塩の外側に一回り撒き、一番外側に鰹節の削ったのをパラパラと撒くのだそうです。

他流派のことながら、なるほど!と納得した次第です。(o^-^o)

本の中の写真を見て、気付いたことをもう一つ。
炭斗の中に炭が組んでありましたが、枝炭は白い化粧炭ではなく黒のままになっています。

実は、昨日の熱田神宮・献茶祭に於いて、松尾流の濃茶席に飾ってあった炭斗の中の枝炭も黒のままでした。

思わず、社中の方に「黒なのですね…」とお尋ねしたところ、「そうです、山色です。」とお答えになりました。

「山色」とは、味のある言葉だと深く感じ入るものがありました。

炭斗(写真は『綺麗さびの茶』より)

この写真一枚からでも、流派によって特徴があることがよくわかります。