黒田正玄襲名披露新作展

名古屋三越ギャラリーで開催されていた黒田正玄展を見てきました。
作品は、千家十職「竹細工・柄杓師」の十四代を襲名するのに相応しい、気品に満ちた全く隙のない芸術品の趣でした。
出るのはため息ばかり、素晴らしい作品の数々に見とれてしまいました。

特に印象に残っているのは、稲塚、食籠、水指、松竹梅茶器、結び文香合などです。

黒田正玄

尤も、素晴らしいのは作品ばかりではありません。
お値段はさりげなく三桁で、千家十職のブランド力の素晴らしさも遺憾なく発揮していました。

以前、NHKEテレ「茶の湯・表千家」で千家十職を訪ねるというコーナーがあり、黒田家のシボ竹の竹藪や、竹を寝かせている納屋を写していました。
また、花入れの制作過程も一部紹介していました。
作品の完成までには厖大な時間と労力を要するだけに、個人的には素直に納得してしまいます。

ところで、千家十職といえば、次の職家の方々です。
樂吉左衛門/大西清右衛門/中村宗哲/駒沢利斎/中川浄益/土田友湖/飛来一閑/黒田正玄/永楽善五郎/奥村吉兵衛
私が知っている限りでは、うち女性は三名、そして現在は制作休止の方もいらっしゃるように感じています。

十職の名跡を継ぐということは、その歴史や技術、そして精神までも受け継いで未来へ繋げることになるだけに、さぞかし大変なことだろうと想像しています。

ともあれ、今回は茶の湯の世界で、竹道具の頂点に立つ作品の数々を見る事が出来て、とても幸せな時間となりました。