方違(かたたがえ)

昼神温泉では、コーヒー処として名が知れている「十字屋」に立ち寄るのが定番となっています。
ともあれ、夏のイベントは無事に終わりました。

十字屋

ところで、某所で行なった「空蝉香」のシチュエーションが少し気になっています。
「空蝉香」は、源氏物語の空蝉の巻を素材にして創られた組香で、香は次の四種で組まれています。
「空蝉(うつせみ)」・「源氏(げんじ)」・「小君(こぎみ)」・「軒端荻(のきばのおぎ)」

源氏が空蝉と出会うのは紀伊守の邸となっていますが、ここは方違(かたたがえ)の所。
方違?…聞きなれない言葉でした。

日本国語大辞典によると、つぎのような説明がありました。
「方角をちがえること。陰陽道の説により平安以降行なわれた風習。他出する時、それが忌むべき方角に当っている場合、前夜に別の方角へ行って泊まり、改めて目的の場所に行くこと。天一神(なかがみ)、太白神、金神(こんじん)などの遊行の方角を忌む。また、生年の干支(えと)によって避けたり、自家を避けて他家へ行ったりもする。」

現在でも、忌むべき方角は、時として突然表面化してくるように、長く根付いていたものは簡単には消えないようです。