香道一口メモ・25/五香

今日の名古屋は最高気温が29.6℃の夏日となり、10月とは思えないほど暑い一日でした。

香道一口メモ・25【趣味の香】

平安時代には貴族仏教として栄えた密教においても、香剤は名香(沈水香・白檀など)五香(沈水香ほか四種の香)と呼称し重要品で、上層社会に盛んに使用された。一方では、花の香りに心を寄せる歌が詠まれ、また、事物をより優美に表現する風潮から、香剤も趣味の香りとして着目されるようになり「薫物(たきもの)」の形式が生まれた。

五香として『茶道名数事典』(淡交社)に挙げてあるのは、次の五つです。
・栴檀(せんだん)
・沈水香(じんすいこう)
・丁子香(ちょうじこう)
・安息香(あんそくこう)
・鶏舌香(けいぜつこう)

「五」が付くと、直ぐに陰陽五行(木火土金水)と結びつけたくなりますが、五香は初めて聞く言葉です。
「薫物」を調合するのに重要な五つの香材という意味だろうと思いますが、矢張り五行は意識されているのかもしれません。

志野流香道の組香の中で、五行と関わっていそうなのは次の五つです。
・五色香=香六種(青・黄・赤・白・黒・紫)…正色の<赤>と間色の<紫>の争いがあります。
・五方香=香四種(一・二・三・客)…香の出方によって、名目が東・南・西・北となり、客は中央。
・五行香=香五種(木・火・土・金・水)
・五音香=香五種(宮・商・角・徴・羽)
・五常香=香五種(仁・義・礼・智・信)

五が付く組香として、他に「五月香」と「五月雨香」があります。
「五月雨香」の香五種の銘[春・夏・秋・冬・五月雨」には、ほのかに五時「春・夏・秋・冬・土用」を思わせる風情も感じられます。
とは言っても、矢張り五行とは異なっており、余りにも我田引水が過ぎました。(反省!)

茶道名数事典