ヒビコレ

森下典子『日日是好日』の文庫本が書店に並んでいます。
しかも、目の高さの一番目立つ陳列棚に、表紙が見える形で横に7,8冊並べてあり、その置き方からして力の入れようが感じられ、売れ筋の本・お薦めの本であることが良く分かります。

樹木希林と黒木華の映画「日日是好日」のヒットを受けてのことで、平成二十年初版の新潮文庫本は大増刷となったようです。
平成十四年初版の単行本を図書館で借りようとしたのですが、予約待ちが10人近くいる状態であっさりとあきらめ、文庫本を読むことにしました。

この本は、お茶の本でありながらありきたりのお茶の本ではなく、お茶を通して典子が歩んだ道を振り返りながら、一人の人間の自然観・人生観を語るという、一つの小説のように感じました。
折しも、NHKEテレでは「茶の湯表千家」を放送していましたが、正に「清流無間断」の趣きでしたね。

何よりも文章が巧みでした。
プロの物書きですから当然と云えば当然なのでしょうが、この先はどうなっているんだろうと先へ先へと読み進み、結局一気に読了してしまいました。

お茶の世界の本質的な面に正面から向き合っていて、読み終えた後、なんとも心地よい、ほんわかとした気分に包まれたのでした。

映画の影響を受けたのか、我家の最近のトレンド語は、専ら「日日是好日」を略した「ヒビコレ」です。
晴れの日も、雨の日も、喜怒哀楽の日々も、全て「ヒビコレ」なのです!