名古屋千人茶会

明治末期から昭和にかけて名をはせた茶人・森川如春庵(1887~1980)は、本阿弥光悦の黒樂「時雨」を所蔵し、赤樂「乙御前」も一時所有していた尾張の素封家として知られています。
「時雨」は名古屋市博物館に寄贈・収蔵されて現在に至っていますが、森川邸田舎家の再現を目指す取り組みの一環として、寄付金付きの茶会を催す活動が長年続けられています。

今日と明日の二日間、「名古屋千人茶会」と銘打って名古屋市博物館で茶会が行われていますが、初日の今日は志野流の担当。
立礼でお点前があり、お茶を一服いただいてきました。

目を引いたのは菊蒔絵の大棗。
塗師が「勝軍木庵」とあり、読みは(ぬるであん)とか…。
松江藩お抱えの塗師であったようですが、勝軍木は普通に読めば(しょうぐんぼく)で、辞書にはヌルデ(白膠木)の異名とあります。

Wikipediaには、
「ヌルデの別名はフシノキ、カチノキ。ヌルデの名は、かつて幹を傷つけて白い汁を採り塗料として使ったことに由来するとされる。フシノキは、生薬の付子(五倍子)がとれる木の意である。カチノキ(勝の木)は、聖徳太子が蘇我馬子と物部守屋の戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承から。」
とあります。

なるほど「勝の木」→「勝軍木」を(ヌルデ)と読むことにしたのですね。(^O^)

名古屋市博物館では「古代アンデス文明展」が開催されていて、屋外の前庭では「アルパカ」が親子連れの人気を集めていました。

そうそう、掛物のことを忘れていました。
掛物は、How are you を一行に認めた「把和遊」。
半泥子の洒落た一筆です。