福寿草はまだ…

今日から2月。
三日後は早や立春です。
寒い、寒いと云っていた真冬の寒さも峠を越した感があり、そろりそろりと春に向かって動き出す気分になってきました。

ラジオを聞いていると、福寿草が咲いたというリスナーの便りが時々読みあげられます。
鉢植えを日当たりの良い室内に置いておけば、確かに花が咲く時期かもしれませんね。
でも、我家の屋外の福寿草は、やっと芽が出てこれから葉が伸びようかといった段階です。

※安直に鉢ごと地面に埋めています。

蠟梅の花は今が真っ盛りで、辺り一面に芳香を放っています。

暖冬の影響でしょうか、加茂本阿弥の蕾が例年になく膨らんでいます。

志野流香道の先代家元・蜂谷幽求斎宗由宗匠(1902~1988)が月刊誌に寄稿されていたという「香道の心得」です。

香道の心得 ◆如月◆ (1)

 どこやらに残っている寒さの中にも、梅の花がほころび鶯が鳴くと、春のよろこびが一度に湧いてきますが、聞香では庭に鳴く鶯を待ち兼ねて、早々と〝鶯香〟を聞いています。
この組香は香四種とし、最初に鶯の香を聞き覚えます。次ぎに、その鶯一包と松・竹・梅を各々三包ずつの計十包を打ち交ぜ、出題していき、鶯の香が出たらたとえ残香があっても、もう聞かず、この組香を終了するという手法をとっています。つまり、春の訪れを告げる〝初音〟がいつ聞かれるかを主題としているからです。
この場合、答の表し方も普通よく用いる名乗紙に代えて、〝札聞き〟と言って小さな札を用い、一炷聞くごとにその香を判じ意志表示をしていきます。ですから、聞香すると直ぐに小札を〝札筒〟に投じなければなりませんし、しかも、一炷ごとに答を調べる〝一炷開き〟をしますから、筆者が札を回収し、答を発表する瞬間というものは、鶯が出るか出ないかとの期待と不安で座中に緊張感がみなぎります。この鶯香ほど一炷一炷の香に一喜一憂させる組香はほかに見当らないと言えましょう。