詩歌をちこち・3

組香に引かれている漢詩の下調べがなんとか終わりました。

出処が掴めず、なかなか埋まらなかった最後のピースが思いがけない形で判明し、あっさりと埋まったのです。
判明したのは下の漢詩の二句。

暁洞花飛見鶴遊
花薫東閣万年盃

『和漢朗詠集』には載っていない漢詩の句で、『中国名詩選』や『唐詩選』にも載っていません。
平安貴族も漢詩は詠んでいるのに、調べの方向はすっかり中国の詩人の方へ傾いていたのです。
ダメモトの軽い気持ちで、『新編国歌大観』で調べてみたところ、思いもかけず、それはあったのです!

『新撰朗詠集』に収められている漢詩で、前者は菅三品(菅原文時)、後者は大江匡衡の作でした。
『和漢朗詠集』の他に『新撰朗詠集』があることを初めて知った次第です…。(^O^)

組香に引かれている和歌・漢詩を調べ始めてから、かれこれ四ヶ月。
なんとか一件落着となりました。

フタリシズカ(二人静)の花(花穂)です。

詩歌をちこち 【時雨香】

|『後拾遺和歌集』第六 冬 382
| 落葉如雨といふ心をよめる   源頼実
このはちるやどはききわくことぞなき しぐれするよもしぐれせぬよも

〔大意〕木の葉が散る家では聞き分けることができないことだ。時雨が降る夜とも、時雨が降らない夜とも。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)

※源頼実(みなもとのよりざね)