(2018.10.13記)

秋の冷泉邸特別公開に昨日行ってきました。

上の間の掛物は「重陽の節供」を詠ったもので、旧暦九月九日(今年は10月17日)を前にして、旧暦を大切にされている冷泉家ならではと恐れ入りました。

今回の展示は「貝合わせ」と「かるた」。
貝桶に入れる貝合わせは一年と同じ360個(組)というお話でしたが、展示されている貝合わせ用の蛤はとても大きく、年数を経た蛤であることが一目瞭然でした。

お話によれば、二枚貝である蛤の縞模様は両面(左右)同じような模様だそうです。
貝合わせでは、片方の貝を渦巻状に中心を空けて伏せて並べ置き、もう片方の貝を一枚伏せて中心に置いて、良く模様を見てから「これ!」と思う貝を選んで合わせてみるのだとか…。
その合わせ方は、袖の所でそっと二枚を合わせてみて、ピッタリ合えば(カチッと閉じれば)左右に開いて、内側の絵を見る(見せる)のだそうです…。
なんとも雅な作法です。

「かるた」も百人一首をはじめとして数種類が展示されていました。
漢字の[偏と旁]のかるたもあってビックリしましたが、香書『香道蘭之園』の中に「扁突香(へんつきこう)」があるのを思い出し、「かるた」にあっても不思議ではないと思い直しました。

ぐるりと見学してから、いつものように塩芳軒の美味しいお菓子と薄茶をいただき、冷泉貴実子氏の楽しいお話を聞いて、冷泉邸を後にしました。
冷泉家の安寧を心から祈った次第です。

【扁突香】※志野流の組香にはありません。

・香三種…日、一、木の各三包(内一包試)

・聞き方…日、一、木の試みを聞いた後、出香六包を打ち交ぜ、二包づつ三組に分けて炷き出します。

・答え方…二炷で九種類の文字ができる可能性があり、次の名目で答えます。
[昌(ショウ)、二(ジ)、林(リン)、旦(タン)、■(コン)、杲(コウ)、杳(ヨウ)、末(マツ)、本(ホン)]
なお、上の■(コン)は一の下に日を置いた字で、昏(コン)の異体字ですが辞書にないので表示できません。