(2017.07.27記)
七月七日は七夕の日。
元は旧暦七月七日の行事でしたが、明治五年の改暦に伴って、五節供も新暦の日付にそのままスライドして今日に至っています。
とは言え、今でも旧暦の日付(2017年は8月28日)で行う所、一ヶ月遅れの8月7日に行う所など、場所によって異なるようです。
旧暦の七月七日と云えば初秋ですが、新暦の7月7日は梅雨明け間近の暑い夏といったところです。
七夕では、笹の葉に短冊を吊り下げて、技芸の上達を願うのは昔も今も変わりません。
床の両側には笹竹を立て、間に五色の糸を渡し、床上には角盥に梶の葉を浮かべ、五色の糸巻きや五色の布を置き、琴や琵琶をならべ、野菜や果物を三宝にのせてお供えし、お花を飾り、雀瓦の灯心を添えるといった七夕飾りは、ネット上でも写真をたくさん見る事ができます。
楽しい楽しい七夕飾りです。
七夕の時季に遊ぶ組香に「七夕香」があります。
◆香は七種
雲として 二包で内一包試
月として 同断
扇として 同断
糸として 同断
竹として 同断
牽牛として 一包で無試
織女として 同断
◆聞き方
雲、月、扇、糸、竹の試みを聞いた後、
出香七包(雲、月、扇、糸、竹、牽牛、織女)を打ち交ぜて、牽牛と織女が出るまで聞きます。牽牛と織女が出たら、香席は終りとなります。
なお、一炷聞く毎に、短冊に和歌を認めて、笹竹に結ぶのだそうです。(大変!)
略式で、最後の香を聞いた後に、和歌を一首だけ認めて飾る方法もあるようです。
◆メモ
・香銘は、何れも七夕夜に思いがつながるものばかりです。
・一年に一度の逢瀬の日に、天の川を舟で楫(かじ)を取りながら渡るのでしょうが、願いが叶って牽牛・織女の二人が出会えたら、香をお終いとするのは、なかなか粋な計らいと云えそうです。
・天の河に鵲(かささぎ)が翼を並べて「鵲の橋」を作るという、ロマンあふれるお話もあります。なお、鵲は韓国では普通に見られる鳥で、日本でも九州北部では見られるようです。
・蛇足になりますが、牽牛(彦星)=わし座のアルタイル、織女(織姫)=こと座のベガとされています。はくちょう座のデネブと共に夏の大三角を象っている星々です。
・七夕香は設えの飾り物が多く、数多の組香の中でも特別に楽しい組香になっているようです。
*梶の葉→梶と楫