(2017.10.31記)

今日で10月もお終い。
明日11月1日は、旧暦では九月十三日で、十三夜、後の月、栗名月の日です。

日曜日に台風が通り過ぎ、昨日の名古屋は晴れたものの強風が吹き荒れました。
気象庁は東京・近畿地方で「木枯らし1号」が吹いたと報じましたが、名古屋で「木枯らし1号」が吹いたとは報じられません。

気になって調べてみたところ、なんと「木枯らし1号」には条件がありました。

10月中頃から11月末までの間で、

①西高東低の冬型気圧配置

②北から西北西までの風が8m/s以上

③前日よりも気温が3℃以上降下

上の三条件を満たした場合に、「木枯らし1号」と発表されるようですが、発表は東京と大阪のみです。
名古屋でも、いえいえ日本全国どこでも、木枯らし1号と発表して欲しいものです…。

ところで、二十四節気の「霜降」は、11月7日の「立冬」まで続きます。
名古屋ではまだ初霜は観測されていませんが、昨日から朝の冷え込みは厳しくなっていますから、そのうちに……でしょうか。

この時季に遊ぶ組香の一つに「初霜香」(大外組)があります。

◆香は二種

初霜として 三包で内一包試
白菊として 二包で無試

◆聞き方と答え方

試みの初霜を聞いた後、
初霜、白菊の四包を打ち交ぜ、内二包を取って炷き出します。

初霜・初霜と聞けば
心あてにおらばや折らん初霜の と記紙に書きます

白菊・白菊と聞けば
おきまどわせる白ぎくの花   と記紙に書きます

初霜・白菊と聞けば
をのづから残るも淋し霜枯れの と記紙に書きます

白菊・初霜と聞けば
庭の面に老いの友なる白ぎくは と記紙に書きます

※記録紙で、全あたりの人には、初霜と書かれます

◆証歌

心あてにおらばやおらん初霜のおきまどわせる白菊の花  躬恒(古今和歌集・和漢朗詠集273)

おのづから残るも淋し枯の草葉にまじる白菊の花    師良(新後撰和歌集)

庭の面に老の友なる白菊は六十のやなほかさぬべき   後宇多院(風雅和歌集)

[メモ]

※霜は白髪をたとえていう語ですから、初霜、白菊、白髪の情景を連想しながら遊ぶ組香のようです。
※菊の異称=翁草(おきなぐさ)、齢草(よわいぐさ)、千代見草(ちよみぐさ)、優草・勝草(まさりぐさ)、花の弟(おとと)、など。
※六十=六十路(むそじ)…六十歳

【余談】

「白菊」と云えば、一木三銘の「初音」「白菊」「柴舟」(「蘭(ふじばかま)」を含めて一木四銘とも)を思い出します。森鴎外の短編小説『興津弥五右衛門の遺書』には経緯が興味深く記されています。