(2018.04.04記)

今年は桜の開花が随分と早く、満開になってからも好天が続き、長い間お花見気分を楽しむことができました。

さすがに花弁は散り出し葉桜に変わろうとしていますが、まだお花見は楽しめるようです。

この時季、桜花を愛でる春ならではの組香「花見香」(大外組)も洒落ているかもしれません。(ちょっと遅かったかも…)

◆香は四種

桜として 四包で内一包試
雲として 同断
雪として 同断
客として 三包で無試

◆聞き方・答え方

桜・雲・雪の試みを聞いた後、
①雲、雪、客の各三包を夫々別々に結び置いて結んだまま打ち交ぜ、内一結びを解いて一包除き、これに一包を加え三包として炷き出します。
②次に、また一結びを解いて一包除き、これに一包を加え三包として炷き出します。
③次に、また一結びを解いて一包除き、これに一包を加え三包として炷き出します。

銘々の聞きは名目で答えます。
桜雲雲は 三吉野
雲桜雲は 山家花
雲雲桜は 梺(ふもと)の花

桜雪雪は 散花
雪桜雪は 嵐の花
雪雪桜は 盛の花

桜客客は 初花
客桜客は 水上の花
客客桜は 残花

④最後に、①②③で除いた各一包計三包を打ち交ぜ、その内一包を炷き出します。

出た香によって、記禄の奥に歌が書かれます。
・雲が出れば
さくら花咲きにけらしなあし引の 山のかひよりみゆるしら雲 (貫之)
・雪が出れば
みよし野の山辺に咲けるさくら花 雪かとのみぞあやまたれける (友則)
・客が出れば
いたづらにすぐす月日はおもほえで 花みてくらす春ぞすくなき (興風)

◆メモ
・[客桜客]の名目(水上の花)を見て、思わず「月見香」の[客月客]の名目(木間月)を思い出してしまいました。
・桜花を、雲と見立てるのか雪と見立てるのか、或いはどういった情景の中でとらえるのか、良く考えられた名目が並んでいるように思います。

・秋に「月見香」なら、春は「花見香」も面白そうです…。