(2018.11.19記)
朝からの曇り日、名古屋の最高気温は16℃台と寒い一日となりました。
数日前の小春日和から一転、冬を感じさせるお天気に、街行く人もコート姿が目立ちました。
旧暦ではまだ十月中旬、あと何日か小春日はありそうです。
小春と云えば、初冬の春に似た温暖な気候のことで、旧暦十月の異称となっています。
また、旧暦十月は亥の月、神無月でもあります。
そんな小春を題材にした組香に「小春香」(大外組)があります。
◆香は三種
神無月として 三包で内一包試
清明 として 同断
小春 として 一包で無試
◆聞き方
試みを終えた後、出香五包を打ち交ぜ炷き出します。(そのまんまです!)
なお、全の人には似春、無当りの人には初嵐と書きます。
また、記の奥に次の詩を書きます。(和漢朗詠集352/「白氏文集 巻二十 早冬」より初二句)
十月江南好天気 可憐冬景似春華
川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』(講談社学術文庫)から引用します。
[読み]十月江南天気 好(ことむな)し 憐(あは)れむべし冬の景(かげ)の春に似て華(うるは)しきことを
[現代語訳]十月の江南は小春日和のいい天気です。冬の太陽の光は春に似て、冬とも思えぬ明るい華やかさがあり、なんとも好もしいのです。
◆メモ
江南=中国・長江(揚子江)下流南側の地。
清明=①清く明らかなこと。②(清く明るい気がみちる意)二十四節気の一つ(4月5日頃)。