(2017.08.07記)

今日、2017年8月7日は二十四節気の一つ「立秋」です。
文字通り、秋が立つ日ということで、暦の上では今日から秋となります。
とは云え、暑さはむしろこれからが本番といったところですが、立秋を過ぎてもなお残る暑さは「残暑」となるわけですから、うだるような暑さの中にも一抹の涼、秋の気配を感じ取ろうとする日本人の感覚と知恵は、昔も今も変わっていないのかもしれません。

古今和歌集巻第四(秋歌上)の巻頭歌は、藤原敏行朝臣の歌です。

秋立つ日よめる
あききぬとめにはさやかに見えねども 風のおとにぞおどろかれぬる

立秋をモチーフにして遊ぶ組香に「立秋香」(大外組)があります。

◆香は三種
残暑として 四包で内一包試
秋風として 同断
立秋として 二包で無試

◆聞き方&記録紙に添える歌
残暑、秋風の試みを聞いた後、出香八包(残暑三、秋風三、立秋二)を打ち交ぜて聞きます。

立秋の当り方によって、次の歌が記録紙の点数の上(中段)に書き添えられます。

・立秋の香二つとも当った人には
あさちふの露けくもある秋きぬと めにはさやかに見えけるものを  守覚

・立秋の香一つだけ当った人には
秋きぬとめにはさやかにみえねども 風の音にぞおどろかれぬる   敏行

・立秋の香一つも当らなかった人には
秋風の吹きもつよらぬまくず原 夏のけしきになほかへるかな    有家

◆メモ
秋立つ日と聞くと、なんだか「その気」になるから不思議です…。
もしかすると、「その気」の度合いが点数に反映されるのかもしれません。

そういえば、香銘に「風の色」と記されている記録紙を見たことがあります。
秋立つと風の色も変わってくるのでしょうか。