「十種香」

今日は(今日から)二十四節気の一つ「大雪(たいせつ)」です。

飛騨の山岳地帯では雪が積もっているようですが、東海平野部では寒さは厳しくなっているものの雪はまだまだです。

でも年内には、西風に乗って流れくる雪雲から風花ぐらいは舞うのでしょうか…。

舞うと云えば、ここ二、三日落葉がしきりです。

香道一口メモ・84【十種香】

代表的な練香材、基本となる組香をさす場合があるが、通常は十炷(ちゅう)の香を三・三・三・一の四種に聞き分ける組香をいう。この名称は鎌倉時代の末には見られて歴史的にも著名。それゆえか、歌舞伎劇にも取り上げられ、上杉謙信の娘、八重垣姫がいいなずけの武田勝頼の絵像の前で香をたき、回向する。この場面を「十種香の段」という。

①組香「十種香」

香は四種で、
一として 四包で内一包試
二として 同断
三として 同断
客として 一包で無試

試みの香を聞いてから、出香は(三・三・三・一)包の計十包を炷き出して聞きます。

②本朝廿四孝「十種香」

歌舞伎名作撰DVDの中に、「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)十種香」の段が収められています。(本朝=日本)

本では岩波文庫に収められ、DVDは市販されていますが図書館から借りて見る事も出来ます。

DVDの解説を以下に引用します。

■■■戦国時代の武田家と上杉家との争いを題材に、中国の故事「廿四孝」の趣向を取り入れた人気歌舞伎狂言「本朝廿四孝」、その四段目に当たる「十種香」。
三姫の一つ、八重垣姫の恋心を優美さの中に見せる中村歌右衛門。臈長けた色気を見せる濡衣に中村芝翫。気品あふれる武田勝頼役には尾上梅幸。
更に十三世片岡二左衛門が長尾謙信を演じる、歌舞伎座ならではの大舞台。■■■

舞台では、勝頼の絵像を前にして八重垣姫が十種香をたいて回向する場面がありますが、画面では実際に白煙がたなびくのが見えます。

歌舞伎の舞台を見ていないので確かな事は云えませんが、香りはきっと客席の隅々にまで行き届いたのではないかと想像してしまいます。

八重垣姫がたいた十種香は組香「十種香」ではなく、十種類の香料という意味で、『茶道名数事典』(淡交社)には以下の十種の名が記されています。(すべて南方・中国などから輸入)

栴檀(せんだん)=白檀
沈水(じんすい)=沈水香木
蘇合(そごう)=マンサク科の落葉高木の樹脂。
薫陸(くんろく)=凝固した苦みのある樹脂。
鬱金(うこん)=ショウガ科の多年草の根茎。ターメリック。
白膠(はくきょう?)=???。白膠と書いてヌルデと読む木がありますが…。
青木(せいもく?)=ウマノスズクサの根。
零薐(れいりょう)=サクラ草科の草本。
甘松(かんしょう)=オミナエシ科の草本の根茎。
鶏舌(けいぜつ)=丁子(ちょうじ)の類で、名は形が鶏の舌に似ていることから。