熱田さん3月

快晴の名古屋・熱田神宮で、今年度最後となる3月の月次茶会が行なわれました。
3月期限の茶券を無駄にしては勿体ないとばかり、珍しく朝から出かけました。

同様の方は矢張りいたようで、濃茶席は思っていた以上に席待ちの人で賑わって?いました。
結局、濃茶席は4席待ちとなりました…。

今日の席主さんは、濃茶席が美術商の吉田博行氏、薄茶席が宗徧流名古屋支部でした。
濃茶席では、寄付きに飾られていた茶杓「ヌケマル」に纏わるお話が面白く、思わず聞き入ってしまいました。
ガッチリとした大きめの茶杓で「茶杓は茶人の刀」という言葉がピッタリの堂々たる姿でした。
共筒は栓が緩いのだそうで、何時でも茶杓が自ら抜ける、いや刀が自ら抜けるようになっているのだとか…。
キーワード「抜丸」で検索すると、ネット上には刀「抜丸」に纏わる面白いお話が載っていました。(^O^)

薄茶席は床に飾られたお花に引き寄せられました。
取り合わせは、黄色の山吹と薄紅色の乙女ユリで、心洗われる何よりの御馳走でした。
乙女百合……。
美しいお花でした。(^O^)

熱田神宮茶苑のサンシュユです。

詩歌をちこち 【春秋香】

|①『白川殿七百首』 春百三十首 96
|  霞中花   御製
たちかくす花をばしらず大かたに かすみぞ匂ふ春の明ぼの

|②『新千載和歌集』巻第四 秋歌上 315
|  夕露といへる事を   衣笠前内大臣
あはれしる秋の夕のしら露は たが袖よりかおきはじめけん

|③『古今和歌集』巻第三 夏歌 151
|  題しらず   よみ人しらず
今さらに山へかへるな郭公 こゑのかぎりはわがやどになけ
〔大意〕今はことさらにもう山へ帰るな、ほととぎすよ。声の続くかぎり精いっぱい、わたくしの家のあたりで鳴いてくれよ。

|④『続拾遺和歌集』巻第六 冬歌 436
|  弘長元年百首歌たてまつりし時、雪   前大納言為氏
さゆる夜のあらしの風にふりそめて あくる雲まにつもる白雪

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)

※御製=後嵯峨院
※衣笠家良(きぬがさ いえよし)
※藤原為氏(ふじわらのためうじ)