秋の花

秋の花が咲いています。

白花のホトトギスです。
今夏の暑さのためでしょうか、虫に食われたためでしょうか、葉に傷みがあります。(両方!)

鉢植えの彼岸花は数日前に咲きだしました。
今年は開花が遅かったようです。

間もなく開花しそうな藤袴です。
アサギマダラが渡りの途中で立ち寄ってくれることを毎年願ってはいるのですが…。(残念!)

秋の花、カリガネソウ【雁金草】が満開です。
この花が咲く度に、苗を買い求めた八ヶ岳倶楽部の柳生博氏を思い出します。

カリガネと云えば「雁金」を香名にした組香に「玉章(たまずさ)香」があります。
香四種[初雁・帰雁・雁金玉章]で組まれている組香です。

中国の故事「雁の使い」から組まれた組香のようです。
『日本国語大辞典』には、「(中国、前漢の蘇武が匈奴にとらわれた時、雁の足に手紙をつけて都に届けたという「漢書-蘇武伝」の故事から)便りを伝える使いとしての雁。転じて手紙、消息。」とあります。

また、たまずさ【玉章・玉梓】は「たまあずさ」の変化した語で、便りを運ぶ使者の持つ梓の杖。転じて手紙、便り、文章などの意味があるようです。

「雁の使い」は「玉章」に通ずることから「玉章香」でしょうか…。
「玉章香」については、また何時の日か、改めて記したいと思っています。

「雁の使い」は「漢書-蘇武伝」の故事から、と辞書や本に書かれていますが、該当部分の原文(白文)は『漢書』(中華書局)巻五十四-李廣蘇建傳第二十四-の中に記されています。
また『十八史略』巻二-西漢-(昭帝)の中にもあります。

詩歌をちこち 【盧橘香】

|『古今和歌集』巻第三 夏歌 139
|     よみ人しらず
さつきまつ花橘のかをかげば 昔の人の袖のかぞする

〔大意〕夏の五月を待って咲く花橘の香りをかぐと、もと知っていた人の袖の香りがする思いだ。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
※『伊勢物語』六十段に同歌。

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枝繋金鈴春雨後 花薫紫麝凱風程

|『和漢朗詠集』巻上 夏 172
枝繋金鈴春雨後  枝(えだ)には金鈴(きんれい)を繋(か)けたり春(はる)の雨(あめ)の後(のち)
花薫紫麝凱風程  花(はな)は紫麝(しじゃく)を薫(くん)ず凱風(がいふう)の程(ほど)    後中書王

〔現代語訳〕春雨の後、雨の滴(しずく)に濡れてつややかに光る橘の実は熟して枝に黄金の鈴をかけたようです。その花は、初夏の南風に咲き匂って、まるで麝香(じゃこう)を薫ずるようです。

*出典『和漢朗詠集 全訳注』(講談社学術文庫)
※後中書王(ごちゅうしょおう)=具平親王(ともひらしんのう)