冬至の七種
今日は二十四節気の一つ「冬至」。
北半球では、太陽の南中高度が最も低く、昼間が最も短い日となっています。(名古屋の日の出は6:57、日の入は16:44ですから、昼間の時間は10時間以下ということになります。)
この日を境にして日照時間が伸びるので、太陽の陽の気、生命力が復活する節目の日として、昔から祝う習慣があったようです。
今でも冬至の日には、南瓜や小豆粥を食べ、柚子湯に入って、邪気を払い無病息災を願うのが慣わしとなっています。
今朝のNHKラジオ番組の中で「冬至の七種(ななくさ)」のお話がありました。
この日に「ん」が付く、それも二つ「ん」が付くものを食べると、運(うん)がダブルで良くなるとのことでした。
「えっ、そうなの!」
初耳です。
『広辞苑』および『日本国語大辞典』には見当たらない言葉です。(^O^)
・なんきん=カボチャ【南瓜】……なんきんボーブラ【南京南瓜】がカボチャの異名であることから略して「なんきん」。(ボーブラはポルトガル語)
・れんこん【蓮根】
・にんじん【人参】
・きんかん【金柑】
・ぎんなん【銀杏】
・かんてん【寒天】
・うんどん=うどん【饂飩】
この手の言葉なら他にもありそうですが、「冬至の七種」は何時頃から言われている言葉なのでしょうか?
ところで、この日から日照時間が伸び、太陽の陽の気が復活することから、「一陽来復」は旧暦十一月、また冬至の称となっています。
旧暦十一月と二十四節気の一つ「冬至」との関係は、あまり馴染みがないことかもしれませんが、旧暦十一月は冬至を含む月と定められていて、旧暦月の基準となっているようです。
因みに、二十四節気は太陽の運行に基づいて、二至(冬至・夏至)、二分(春分・秋分)、四立(立春・立夏・立秋・立冬)で八節を定め、更にその間を三分割したもので、ほぼ15日間隔となっています。
また、旧暦(陰暦)は月の運行に基づいて、新月から次の新月までをひと月(約29.5日)としています。(小の月は29日、大の月は30日)
暦を見ると、冬至の今日12月22日は旧暦の十一月二十六日となっています。(^O^)
香道では、「一陽香」が冬至の一陽来復から想を得た組香となっているようです。
◆香は四種
一として 四包で内一包試
二として 三包で無試
三として 同断
客として 一包で無試
◆聞き方
一の試みを聞いた後、出香十包(一、二、三各三包と客一包)を打ち交ぜ炷き出します。
一は正聞き、他は十炷香の如く聞いて答えます。
◆メモ
一の香を聞き間違うことを恥とし減点1となります。また、客香も大事に聞くことになっています。
一陽香は、一の香だけに試みをつけ、全部で十一包聞くことになりますが、これは旧暦十一月の冬至に一陽が生ずることを表しているようです。(^O^)
八卦を上下に二つ重ねて六十四卦(8×8=64)が得られますが、十一月は上に☷、下に☳を重ねた印となります。
まさに一陽(陽の爻が一つ)が表れる月となっています。
今日は、習いに従ってカボチャと金柑を食しました。柚子湯もスタンバッています。(^O^)
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詩歌をちこち 【雲井香】
|『詞花和歌集』巻第十 雑下 382
| 新院位におはしましし時、海上遠望といふことをよませ給けるによめる 関白太政大臣
わたのはらこぎいでてみればひさかたの くもゐにまがふおきつしらなみ
〔大意〕大海原に漕ぎ出て見渡すと、遥か沖の白波は白雲と混じて、波とも雲とも見分けがつかない。*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
※『小倉百人一首』所収
※関白太政大臣=藤原忠通(ふじわらのただみち)