「八重垣」①

東海地方の梅雨入りが先日29日(月)に発表されました。
5月中の梅雨入りは10年ぶりのこととか…。
水害をもたらすことなく、梅雨が早く明けることを願っています。
とはいうものの、夏の陽射しは想像するだけでクラクラしそうですが…。 (^^)

公園に、丈が1.5mもあろうかという大きなササユリ【笹百合】が咲いていました。

つる性のテイカカズラ【定家葛】も花を付けていました。

京都・細見美術館で開催されていた展覧会「香道志野流の道統」(3月4日~5月31日)が終了しました。

初代・志野宗信没後五百年記念と銘打った特別展で、志野流松隠軒所蔵の数多の名品に加えて、細見美術館、松栄堂松寿文庫、山田松香木店所蔵の名品も出展され、総数百数十点に及ぶ掛物・香道具・香木・資料等が一堂に会した圧巻の展覧会でした。

志野宗信(1443-1543)は、足利義政に仕えた同朋衆の一人で、聞香作法を確立し、所謂六十一種名香を選定した志野流香道の流祖にあたり、以後500年、20代にわたって、志野流は途絶えることなく現在に受け継がれています。

展覧会の終盤には幾つかのイベントが組まれ、その中に「若宗匠による展覧会ツアーと聞香・呈茶」がありました。

案内には、「志野流香道21世家元後継者・蜂谷宗苾氏に展示作品を解説いただきます。茶室・古香庵では、3月18日に銀閣寺で行われた「志野宗信五百回忌法要」で振る舞われた銘香と主菓子をお愉しみください。」として、以下の要項が記してありました。※尤も、イベントは全て終わってしまいましたが…。 (^^)

・開催日:5月21日(日)、27日(土)、28日(日)
・会費:15,000円(展覧会入館料が含まれます。)
・定員:各席15名
・会場:細見美術館 展示室、茶室古香庵(細見美術館3階)

「志野宗信五百回忌法要」では、銀閣寺・東求堂において六十一種名香「八重垣」が足利義政公像に献香され、そして聞香席で名香三種「法(のり)のこころ」「高松」「賀(が・よろこび)」が炷かれたと聞いています。

六十一種名香「賀(が・よろこび)」(真那賀・甘苦辛)については、「この香、足利義満公秘蔵の香で五十歳の御賀に炷かれたことから、その後代々将軍家御賀の時にはこの香を炷く習わしとなりその名が付く。」との解説が『香銘大鑑』にあります。

展覧会の上記イベントでは、聞香で名香三種「法のこころ」「高松」「賀」が炷かれ、呈茶で主菓子「八重垣」(末富)、干菓子「八雲」(鍵善良房)が振る舞われたと聞いています。

お菓子の銘は、『古事記』の中にある歌からとってあります。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を

献香に供された「八重垣」を炷くわけにはいかないので、せめて御菓子銘「八重垣」で流祖を忍ぶ思いを感じ取ってほしいという、宗家の「心配り」のように思います。

続きは、また後日に…。 (^^)