聞書(ききしょ)
寒い日が続いています。
先週の土曜日7日は二十四節気の「大雪」でした。
当地にはまだ雪は降っていませんが、朝方の冷え込みは真冬並みで、ここしばらく0℃~3℃の間です。
日中の晴れ間にはホッとしていますが、北風の強い日もあり、風邪をひかないよう体調管理に気を遣う毎日です。
※嵯峨菊
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香道で組香を行なうときには、その手順を記した手引書、マニュアル、トリセツなどに相当する「聞書」が必要となります。
『日本国語大辞典』には、「聞書」について次のような説明があります。
「香道で、組香の組み方、つまり香木と香包の用意の仕方と、香の炷(た)き方、連衆の答え方、記録の取り方などを説明した書。」
組香は数多あり、全体像は杳として掴めませんが、ネット上に記されている志野流香道の組香数だけでも二百数十組を数えるほどです。
組香目録には、内十組、三十組、四十組、五十組、外組(87組)、外盤物十組が挙げてありますが、これら以外にも新作組香が多数あるようです。
聞書は基本的に書き写しによるものですから、全て同じというわけではないようです。
書き手によって、読み間違い、書き間違い、脱落、思い違い、加筆などがあっても決して不思議ではありません。
従って、伝書によって細部は(細部のみならず?)異なっていると考えるのが自然なのかもしれません。
手元に外組聞書を活字に起こした書物のコピーがあります。
外組の概要を知るには格好の資料と思い、読みやすいように句読点を勝手につけて紹介したいと思います。
ただし、記紙の書き方、記録の書き方は、表現が難しくすべて省略です。
初回は外組1番【初春香】です。
外組1番【初春香】
香五種
霞 として 四包に認内一包試
初春として 三包に認無試
一 として 二包に認同断
二 として 二包に認同断
三 として 一包に認同断右試香終りて本香十一包の内、最初に霞の香一包に初春の香一包合せ二包交ぜ合せ炷き出す。試に合せ名乗紙に書き付けおく。無試の香初春なり。次に霞一包、初春一包、一の香一包合せ三包炷き出す。次にまた霞一包、初春一包、一の香一包、二の香二包、三の香一包合せ六包打ち交ぜ炷き出す。各正聞の札打つべし。二、三の香は二炷と一炷にて聞き分かつべし。記録点法は初春の香初めて出たるは二点なり。次よりは一点づつなり。又、三包の内にては一の香二点なり。次より一点なり。後六包の内、三の香は二点、其の外は一点づつなり。ほうびの点あれば数に入れるべし。又、始め二炷の内、霞先に出たるとき、記録の奥へ左の歌を書くべし。
山の端のかすみをわけて出る日ののとかにめくる千代のはつ春
又、初春の香先に出れば同所に左の歌を書くべし。
末遠くかすむ空かな幾千世とかきらぬ御代の春や来ぬらん
尚、記録の面にて能々(よくよく)考えるべし。左の如し。
(記録略)
きろく是に順ずべし。