梅雨香
旧暦で云うところの「五月晴れ」も多い、この時季ならではの組香に「梅雨香」(大外組)があります。
馴染みのない二、三の言葉や旧暦の呼称、そして二十四節気など、暦・季節をテーマにした組香になっているようです。
◇香は四種
仲夏として 三包で内一包試
芒種として 同断
夏至として 同断
雨 として 一包で無試
◇聞き方
仲夏、芒種、夏至の試を聞いた後、
出香七包(仲夏、芒種、夏至の各二包と雨一包)を打ち交ぜてたき出します。
◇記紙、記録紙の書き方
①客香「雨」が出たら、「雨」とは記さずに次の文言を書きます。
・仲夏と仲夏の間に「雨」が出れば、五月雨と書く。
・芒種と芒種、夏至と夏至の間に「雨」がでれば、入梅と書く。
②点数の所に書き添えられる文言は、
・「雨」ばかり当った人には、増水
・全の人には、梅雨
・無の人には、晴時
◇札名は10個
杜鵑(ほととぎす)、盧橘(ろきつ)、菖蒲(あやめ)、柘榴(ざくろ)、梔子(くちなし)、
新竹(しんちく)、真薦(まこも)、熟梅(じゅくばい?)、雲峰(うんぽう)、薬玉(くすだま)
◇メモ
★旧暦の五月に当るのは、今年は5月26日~6月23日です。
仲夏…旧暦五月の呼称。(首夏、仲夏、晩夏)
芒種…二十四節気の一つ。(今年は6月5日)
夏至…二十四節気の一つ。(今年は6月21日)
入梅…雑節の一つ。(今年は6月11日)
★最初に客香「雨」が出ないように配慮することが必要かも…です。(代わりに記録紙に記す文言がないのです!)
★この組香の妙味は、五月雨月とも呼ばれる旧暦五月の風情を余すところなく楽しむところにありそうです。登場する言葉は、旧暦五月を代表するものばかりで、その風景や姿、色、そして香りまで、目に、そして脳裏に浮かんでくるようです。
*公園植込みの梔子(くちなし)です。白い花までもう少しですネ。
【余談】
☆梔子と聞いて真っ先に思い出すのは、不思議と静岡県掛川市の加茂庄の菖蒲園(現在は加茂庄花鳥園)。食事の際にいただいたご飯が、クチナシの実で染めた黄色の染飯(そめい)で、珍しさからか深く印象に残っています。(もう一度食べた~い!)