重陽・月釜・松月堂

今日9月9日は、縁起の良い奇数(陽数)で最大の数である九が月と日に重なる「重陽」の日。

「重陽の節供」として、宮中では平安の昔からお祝いの宴が催されてきました。
尤も、もともとは旧暦の九月九日の行事。
旧暦の明治五年十二月三日を新暦の明治6年1月1日とした改暦に伴って、五節供(人日・上巳・端午・七夕・重陽)はそのまま新暦の日付にスライドされて現在に至っています。
「重陽の節供」は「菊の節供」とも云われますが、流石に菊の花はまだ咲きません。

菊には不老長寿の効能があるとされ、重陽の節供の前夜には菊花に真綿をかぶせ(着せ綿)、節供当日にその湿った真綿で身体を拭いて長寿を願い、また盃に菊花を浮かべた菊酒を酌み交わして無病息災を願ったといいます。
お酒に「菊水」という銘柄がありますが、これも中国の故事に因んでいます。

重陽の日、八事興正寺の月釜は武者小路千家の伊藤妙宣氏が席主を務められました。
お席は、重陽の節供・菊の節供に因んだ道具の数々で、取り合わせの妙を楽しませていただきました。
寄付の掛物は菊に仙人図、茶杓は「鶴の齢」、本席の掛物は「万歳緑毛」の亀、棗には菊の螺鈿、蓋置は菊型、お菓子は両口屋の「千代見草」(菊の異称です)等々で、きっと席主の方も道具の取り合わせや準備を楽しまれたのではないかと勝手に想像しました。

 萩

また、別に興正寺席が設けられていて、こちらは椅子席の点て出しでした。
前庭には萩が咲き乱れ、部屋の中は「花寄せ」の趣でした。
葦戸を花寄せの屏風に見立てると云う趣向で、「これは、なるほど!」と感心しました。

ついでに、名鉄百貨店で開催中の「松月堂古流」のいけばな展を見てきました。
現代花の部は今風のアレンジで色々でしたが、生花の部は古流の型そのもので凛としていましたネ。