歳暮香

師走の時期になると、香道の教場などで必ずと言っていいほど催されるのが「歳暮香」。

読んで字の如く「歳の暮れ」ですから、矢張り一年の思いを込めた特別な組香となります。

歳暮香は、試みとして年(とし)・月(つき)・日(ひ)の三炷、そして出香十二炷の計十五炷を聞くことになり、かなり長い組香となっています。

年・月・日・ウの組み合わせは十五通りになりますが、それぞれに歳暮らしい名目が与えられています。

詳細は別の機会に譲りたいと思いますが、例えば(年・ウ・年)と聞けば名目は「年内立春」、(年・年・ウ)と聞けば「歳暮魂祭」といった具合です。

「年内立春」は旧暦でその年の内に立春を迎える事ですが、来年の立春(2月4日)は旧暦では十二月十九日でまさに「年内立春」ということになります。

年内立春は、古今集の巻頭歌「年のうちに春はきにけり一年をこぞとやいはむ今年とやいはむ」に詠われているように春の部です。

因みに、連歌・俳諧では冬の部としているようです。

※柚子と饅頭の準備完了です。(饅頭はそのまま食べるのが常道かも…)

香道一口メモ・91【聞香会⑤】

筆者は料紙に「源氏香之記」などとの題号と客名を記録し、中仕舞をする。ついで、重硯を正客に送る。香元は地敷を広げ、香炉、盤、銀葉、香包、火道具などを配置する。客は正客から順に先礼して重硯を一枚ずつひざ前に下ろし、水をさし、記紙を取る。香元が入室してからここまでしばらく時がある。この間に客は出来る限り雑念を払うこと。