蠟梅の一番咲き

数日前から蠟梅の蕾が数個膨らんでいましたが、その内の一つがやっと開花し、花芯をのぞかせました。

近づくと蠟梅独特の濃密ながら澄んだ香りに包まれます。

「蠟梅」といえば、六十一種名香にその名を連ねていて、木所は寸聞多羅(スモンダラ)、香味は酸甘辛とか。

銘は、梅花の香りにきっと通じているからでしょう…。

香道一口メモは【函谷関の鶏鳴】の故事後半です。

香道一口メモ・116【鶏鳴の香②

孟嘗君一行は深夜の函谷関に到達した。だが、この関は、鶏が鳴くまで開けない掟であった。そこで物まね上手な食客に鶏の鳴き声を真似させたところ、あたりの鶏がいっせいに鳴き出し、これを聞いた関守が夜明けと思い開門したので一行はすかさず通り抜け、無事、斉に帰国できたという。この故事をたくみにとらえて香組みされたのが関守香。

※関守香

◆香は四種
一として 二包で内一包試
二として 同断
三として 同断
鶏として 三包で無試

◆聞き方
先ず、孟嘗君と関守方に人数を半分に分かちます。(団体戦)
一、二、三の試みを聞いた後、出香六包を打ち交ぜ炷き出します。

◆答え方
孟嘗君方は聞き当てることを、関守方は聞き当てないことを目指します。

孟嘗君方は、鶏(客香)を当てる→鶏鳴を聞く→函谷関を通過する、OK!です。
関守方は、鶏(客香)を当てない→鶏鳴を聞かせない→函谷関を通過させない、OK!です。。

関守方は意図的に聞きを外さなくてはならないという、いつもとは異なる答え方になっているところが面白いと思います。
関守方は鶏(客香)の聞きを三つとも外せば自動的に六点が得られますが、孟嘗君方は一、二、三、鶏の全てを当てないと六点にはならないので、関守方の方が若干有利と云えるかもしれません。

出香が六包なのは、夜明けの「明六つ」を意味しているようです。

なお、『香道の作法と組香』(雄山閣)に「関守香」の詳しい解説があります。