香の文化
先週の土曜日(2/10)、徳川美術館講堂で土曜講座「香の文化」が開催されました。
残念ながら都合が整わず、参加は叶いませんでしたが、レジュメと講演録で当日の様子は知ることができました。
講演は、『日本書紀』記載の淡路島への香木漂着(594年)に始まり、「仏教と香」、「平安時代の薫物文化」、「室町時代の十炷香、江戸時代の組香」と、香文化の歴史が定石通りに展開されていました。
現在、徳川美術館では特別展「尾張徳川家の雛まつり」が開催されています。(~4/8)
「大名の雅び-奥道具-」の展示では、「香の世界」と称して香道具や香木が幾つか展示されているようです。(~3/6)
展示リストに載っている名香木は、天下の「蘭奢待」(源頼政・太田道灌・東福門院和子所用)を初めとして、一木四銘の「柴舟・白菊・初音・蘭(ふじばかま)」、六十一種名香の「三吉野」、「法華経」などなど、名香木14点が出展されています。
展示されている香木はすべて平成八年の図録『香の文化』に掲載されていますが、特に「蘭奢待」の由来については興味深いものがあります。
★図録『香の文化』より
※錫の容器に金銀の「竹紙」と思われます。香木「蘭奢待」は0.4g。
★図録『香の文化』より
図録『香の文化』の解説を引用します。
「数ある名香のなかでも古来よりとくに名高い香木が、正倉院に伝来した「蘭奢待」である。香銘のそれぞれの文字のなかに東・大・寺の文字が隠されており、「東大寺」と別称される。足利義政、織田信長ら権力者たちが、勅封の正倉院より入手した話は著名であり、また後世にあるこの香木の伝来についても、さまざまな説が伝えられている。
この「蘭奢待」は付属する由緒書により、源三位頼政より伝来し、江戸時代初めには東福門院和子が所持し、のち香道志野流の家元蜂谷家の手鑑香であったのを、宝暦四年(1754)に志野流十一世勝次郎豊光から尾張徳川家に献上された一材であることが知られる。」
いろいろ推測はできるものの、献上に至った詳しい経緯については知る由もありません…。
「蘭奢待」についてはもう一か所、愛知県一宮市の真清田神社が所蔵している「蘭奢待」についても、その由来には興味があります。
月次茶会の折にでも一度訪れたいものだと思っていますが、チャンスはなかなかやってきません…。
香道一口メモ・127【座香(ざこう)】
一香炉で聞香と空だきとを兼ねて行うもの。客の所望があればこれを聞かせて聞香となり、なければ空だきに終わる。ただし、座香か否かは香炉の種類、灰の押え方によって区別する。祝宴の席なら祝意のある香炉、香具、香銘を用いる。一同聞き終われば香炉の拝見をこうてもよい。火末(ひずえ)、すがりの語は香道用語であるが避けること。
※火末(ひずえ)/末枯(すがり)