日日是好日
表千家機関誌『同門』に「映画「日日是好日」上映のお知らせ」の記事が載っていました。
先月亡くなった俳優・樹木希林がお茶の先生役で出演している映画で10月13日(土)から上映されています。
※機関誌「同門」より
以前、映画の予告編で映し出された袱紗の捌き方やお茶の点てようを見た時、表千家流であることは一目瞭然でしたが、映画の<応援>として表千家不審庵の名が記されていました。
原作はエッセイスト・森下典子が書いたロングセラー『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫)。
「同門」記事にある前書きは次のようです。
雨の日は雨を聴く、雪の日は雪を見て、
夏には夏の暑さを、冬は身の切れるような寒さを
五感を使って、全身で、その瞬間を味わう…。
映画「日日是好日」を観てきました。
9月に亡くなった俳優・樹木希林が圧倒的な存在感で、主役の黒木華とともに「日日是好日」を二十四節気を用いながら映像で具現化していました。
多くは語らず、四季の移ろいと共に生きる人の在り方を、しばしの間だけでも考えさせてくれる、感じさせてくれる、そんな映画だったように思います。
映し出される床の掛物、そして花入に入れられた花は、四季折々の場面に相応しいもので流石と感じ入りました。
「日日是好日」(にちにちこれこうにち・ひびこれこうじつ)は一行物としてお茶席で掛けられることもある禅語です。
映画の中では、稽古に通い始めた二人が言葉の意味について語る場面でちゃんと伏線が張られていましたネ。
先生役の樹木希林が初釜の席でそれとなく語った言葉は印象深いものでした。
「こんなふうに何でもないことを、来年もまた毎年同じ事ができるということが、本当に幸せなんですね」
日日是好日は「晴れの日も、雨の日も、楽しい日も辛い日も、その一日一日が最上最高で、かけがえのない日である、ということ。」と禅語大辞典にはあります。
なんとも味わい深い言葉です。
観終わった後、樹木希林と黒木華のお二人なくしては、この映画は成り立たない、雰囲気は引き出せないと強く感じました。
また、たとえ映画の中とはいえ、茶の湯の環境やセットには細やかな注意が払われていたように思います。
お茶に興味や関心のある方にお薦めの一本といえそうです。