利休忌に寄せて
利休が切腹したのは天正十九年の二月二十八日。(旧暦です!)
明治五年十二月の改暦により現行のグレゴリオ暦に移行しましたが、今でも利休の月命日28日には京都・大徳寺塔頭で幾つもの釜が掛けられています。
旧暦と新暦の間には、およそ一ヶ月のずれがあるとよく云われます。(今日3月27日は、暦を見るとまだ旧暦二月二十一日です。)
その関係からでしょうか、千家家元の利休忌は毎年3月末に行なわれていて、表千家は今日3月27日、裏千家は3月28日となっているようです。
というわけで、和楽会でも利休忌に因んで「供茶」を供えたのでした。
菜の花もなんとか間にあったようです。
詩歌をちこち 【桜香】
|①『古今和歌集』巻第一 春歌上 59
| 歌たてまつれとおほせられし時によみてたてまつれる つらゆき
桜花さきにけらしなあしひきの 山のかひより見ゆる白雲
〔大意〕桜花が美しく咲いたらしいですね。山あいの谷を通して見る白雲、あれこそたしかに今は盛りと咲く桜花です。|②『千載和歌集』巻第一 春歌上 69
| 円位法師
おしなべて花のさかりに成りにけり 山のはごとにかかるしら雲
〔大意〕この世はどこも一様に花の盛りになったよ。どの山の端にも白雲がかかっている。|③『古今和歌集』巻第一 春歌上 60
| 寛平御時きさいの宮の歌合のうた とものり
三吉野の山べにさけるさくら花 雪かとのみぞあやまたれける
〔大意〕吉野の山々に咲いている桜花は、まるで雪かとばかり思いちがえられることだ。*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
※紀貫之(きのつらゆき)/ 円位法師=西行(さいぎょう)/ 紀友則(きのとものり)