ヒメヒオウギの花
ヒメヒオウギが咲き出しました。
4月下旬の洗心茶会、そして先日の豊国神社茶会でも、花入にヒメヒオウギが入っていました。
珊瑚色とでも云えるでしょうか、可愛い花です。
花芽の時から開花までを眺めていますと、生命の不思議な仕組みには驚くばかりです。
一本の花茎の先端に蕾が数個連なって見えていたのが、蕾が膨らんでくると夫々が向きを変え、色んでくる頃には開花しても互いに邪魔にならないように夫々の位置関係が計られてくるのですから、これはもう生命の、自然の神秘としか言いようがありません。
尤も、種の保存という観点から眺めれば、当たり前の事かもしれませんが…。でも、不思議です!
名前の本家?のヒオウギはどんどん葉を伸ばしています。(株も増えています!)
京都・祇園祭の花として、邪気を払う花として知られていますが、今年も7月中旬にはちゃんと咲いてくれると思います。
詩歌をちこち 【空蝉香】
|①『源氏物語』ー空蝉ー 24
| (光源氏)
空蝉の身をかへてける木のもとに なほ人がらのなつかしきかな
〔大意〕蝉のもぬけになって、姿かたちを変えてしまったあとの木の根本に、それでもなおあの人のぬけがら(薄衣)の残した人柄が懐かしく思われるよ。|②『源氏物語』ー空蝉ー 25
| (空蝉)
空蝉の羽におく露の木がくれて しのびしのびにぬるる袖かな
〔大意〕空蝉の薄き羽に置く露が木に隠れる、そのようにして人目を忍び続ける涙に濡れる袖であるかな。*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
※組香【空蝉香】には、上記の四十組【空蝉香】の他に[外組]にも同名の組香があります。どちらも源氏物語の空蝉の巻からの趣向となっていますが、外組【空蝉香】に和歌は引かれていません。
※同名異組の組香としては、有明香、空蝉香、烟競香、時雨香、住吉香、扇争香、龍田香、名月香、山路香などがあるようです。