黒義棚

今日で5月も終わり。
月日の流れの速さには驚くばかりです。

送られてきた茶道具のパンフレットに珍しい棚が載っていました。
志野好「黒義棚」です。

この棚は2017年秋の名城市民茶会の際に、志野流の茶席で使われたのですが、その時は棚の名前が良く聞きとれず、後日になってから京都・嵯峨野の野宮(ののみや)神社の黒木の鳥居にまつわる名であることを知りました。
野宮(ののみや)は、伊勢神宮の斎王が潔斎した場所として知られています。

棚の名は「黒木棚」とばかり思っていたのですが、なんと「黒義棚」とありますから、名称にはちょっぴり捻りが加えられているようです。
棚の雰囲気は桑小卓に似ていますが、地板と中板の間隔が桑小卓よりは開いているように見えます…。

滅多に出てくる品物ではないだけに、志野流茶道に関わっている方にとっては、興味深い一品と云えるかもしれません。

※ノビル

詩歌をちこち 【三千年香】

|『拾遺和歌集』巻第五 賀 288
¦ 亭子院歌合せ   みつね

みちとせになるてふもものことしより 花さく春にあひにけるかな

〔大意〕三千年に一度実が成るという桃が、今年から花が咲くというめでたい春に、ちょうど巡り合ったことだ。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)

※凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)