五月雨

五月雨(さみだれ)は陰暦(旧暦)五月頃に降り続く長雨のことで所謂「梅雨」にあたります。
五月の異称は沢山ありますが「五月雨月」もその一つ。
今日6月17日は、旧暦ではまだ五月十五日(満月です!)。
文字通り五月雨の頃となっていますが、梅雨の晴れ間でしょうか、今日は久しぶりに晴れ上がり「五月晴れ」となっています。

詩歌をちこち 【五月雨香】

〔古歌〕

村雨に時雨はる雨夕だちのけしきをそらにまがふ五月雨

【五月雨香】は、この時季によく行なわれる組香のように思いますが、歌の出処となると『新編国歌大観』にも見当たらず現時点でははっきりしません。(〔古歌〕とは、なんと使い勝手のいい言葉なのでしょうか…。)

上記の歌には、村雨時雨はる雨夕だち五月雨と、季節の雨がたくさん詠み込まれています。

同じような雰囲気で、幾つかの「雨」が詠み込まれた歌を二つあげておきます。

①『近世歌学集成(中)』(明治書院)近世和歌研究会編
江戸時代中期『詞林拾葉』の中の歌として記されています。

五月雨は時雨夕立おりおりのけしきをそらに尽してぞふる  (通堅)

②『香道への招待』(淡交社)北大路功光・北大路成子著
「五月雨香」の解説の中で「東福門院の和歌によるという伝書があるが調べ当らなかった」として、次の歌が記されています。

五月雨はしぐれ村雨夕立のけしきをさらにまじへてぞふる

※歌の解釈、特に「そら」の解釈は各人のイメージ次第といったところでしょうか…。(^O^)

【五月雨香】

◆香は五種

春として 二包で無試
夏として 同断
秋として 同断
冬として 同断
五月雨として 二包で内一包試

◆聞き方と記録紙

出香は九包で、春夏秋冬の香はつるびで聞き、五月雨の香は試みがあるので正聞きとなります。
聞きに応じて、以下の様な名目を書きます。

春雨 …初めの香を朧夜、次を花香
夏雨 …初めの香を白雨、次を薫風
秋雨 …初めの香を村雨、次を野分
冬雨 …初めの香を時雨、次を落葉(or嵐)
五月雨 …徒然

全当りの人には点数の所に五月雨、無聞の人には無梅雨と書かれます。

夏椿が次々と咲いています。

夏椿は別称として、しゃら、沙羅樹(しゃらのき)とも云われていますが、本物の沙羅双樹・サラノキはインド原産の樹木で日本では生育せず温室で管理されています。
比較的近いところでは(遠いです!)、琵琶湖畔の[草津市立水生植物公園]で、運がよければ4月に花を見ることができるようです。(毎年開花するわけではないとか…。)

表千家同門会誌『同門』6月号に、サラノキの写真が載っていました。

右側のサラノキの花は、夏椿よりもかなり小さく、星形のヒトデのような形をしています。
時期が合えば、草津市立水生植物公園へ行って、沙羅双樹・サラノキの花(開花は4月)を愛でたい?と思っています…。(^O^)