梅雨明け・猛暑・螢草

東海地方の梅雨明けが昨日午後に発表されました。
気温は一気に上がり、今日の名古屋の最高気温は35.2℃と猛暑日となりました。(暑い!)

NHKのBS時代劇で葉室麟原作の「蛍草-菜々の剣-」(全7回)が始まりました。
葉室麟原作の時代劇は、映画では「蜩ノ記」「散り椿」、NHKドラマでは「風の峠-銀漢の賦-」が過去にありますが、何れも観客の期待を裏切らない、しかも余情を残すようなエンディングになっていて、落とし処を心得た作品となっています。
26日(金)が第1回の放送でしたが、今回の作品もしっかり楽しめそうです。(何んといっても葉室麟の原作ですから…)

「螢草」は露草の別称。

露草の名は、露を帯びた草の意で、古くは「つきくさ」といい、摺染(すりぞめ)や青花紙(あおばながみ)に用いた、と辞書にはあります。
また、花の姿からでしょうか、別称として螢草(ほたるぐさ)の他に帽子花(ぼうしばな)といった名もあるようです。
露草の漢名は【鴨跖草】。

鴨跖草の読みは、そのまま読めば(おうせきそう)ですが、『広辞苑』では(つきくさ)との読みもあります。

香道では「札銘」として、[春・夏・秋・冬・祝]の各部で植物名を二文字で表していますが、秋之部にある【鴨跖】は(ぼうしばな)と読んでいるようです。
人名と同じで、漢字の読みはそれぞれということでしょうか…。(^O^)
なお、前記の札銘は鴨路と表記される場合もあるようですが、昔は全て書き写しですから、書写の段階で字が置き変えられた可能性も考えられるところです。

鴨跖の「跖」の文字が気になり、辞書を引いてみました。
読みはセキですが、字義の最初に「足のうら」とあります。
鴨跖は「鴨の足のうら」?

鴨の足を写真で見ると、指の間にはしっかり水かきがついていて、広げた形は露草の花にそっくりです。(?)
螢草、帽子花、鴨跖草の別称は、露草の花の形から名付けられているのでしょうか…。
見当違いかもしれませんが、私的には一見落着!です。(^O^)

鴨の足で一つ思い出したことがあります。
【鴨脚】です。
難読苗字に出てきそうですが、読みは(いちょう)。
鴨の足の指の間には水かきがあり、広げた姿が銀杏(いちょう)の葉に似ていることからの読みとなっているようです。
京都には由緒ある名家として鴨脚家があると聞いています。

鴨の足(脚)を、一方では露草、他方では銀杏になぞらえているのですから、先人の発想は豊かです…。

なんだか、どんどん横道にそれて行ってしまいました。<m(__)m>

詩歌をちこち 【一首十体香】

|『古今和歌集』巻第九 羈旅歌 409
| 題しらず   よみ人しらず

ほのぼのと明石の浦の朝霧に 島がくれ行く舟をしぞ思ふ
このうたは、ある人のいはく、柿本人麿が歌なり

〔大意〕ほのぼのと明けてゆく「明石の浦」の朝霧の中、島かげに消えて行く、そら、あの舟をしみじみと思うことだ。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)