斎宮女御・中務

昨日の和楽会は、桔梗口籠に秋の草花がいろいろ入れられていました。
キイジョウロウホトトギス、ホトトギス、ツワブキ、コウヤボウキ、フジバカマ、シマアシ…。

京都国立博物館で「佐竹本三十六歌仙と王朝の美」展が催されています。

同展に関連して、昨夜はNHKTVで「歴史秘話ヒストリア 流転三十六歌仙絵」が放送されました。
もともと上下二巻の佐竹本三十六歌仙絵巻が「切断」され、それぞれ断簡となって掛け軸に表装し直され、流転のドラマを繰り広げることになった経緯が、ドラマ仕立てで興味深く描かれていました。
※「切断」ですが、ハサミで切ったわけでなく、もともと継いであった歌仙絵を一枚づつバラバラにしたものです。

大正八年の売立で四万円の値がつけられた「斎宮女御」は、唯一の皇族であったからでしょうか、三十六歌仙絵の中では唯一人「上げ畳」に描かれています。(当時の四万円は現在価格に換算すると四億円とか…)
参会者の誰しもがクジで当ることを願っていた「斎宮女御」歌仙絵は結局、譲られる形で益田鈍翁の手中に納まっています。
早速、表装されて掛物に姿を変え、斎宮女御茶会でお披露目されたようですが、現在の所有者は別人になっています。

今回の京博に「斎宮女御」歌仙絵は展示されていませんが、5年ほど前に東京・根津美術館の展覧会に他3点の歌仙絵と共に展示されています。(他3点は今回の京博でも展示されます)
「斎宮女御」歌仙絵は一番人気なので、前回の展示からあまり年数が経っていないこと、掛物を掛けたり巻きあげたりするたびに本紙が傷むことなどを考えて、今回は展示見送りになったのかもしれません。

そうそう、今回は展示されていない「中務(なかつかさ)」歌仙絵は諏訪湖畔・サンリツ服部美術館の所蔵となっていますが、11月15日から12月15日まで、同美術館で展示される旨の記事がHPに載っていました。

キャッチコピーは「おかえりなさい、中務の君」です。(^O^)

同美術館は本阿弥光悦作の国宝・白楽茶碗「不二山」を所蔵していることでも知られています。
かって車を走らせて、諏訪湖畔まで観に行ったことを思い出します…。

詩歌をちこち 【替千種香】 

|①『玉葉和歌集』巻第四 秋歌上 518
|  三十首歌めされ侍りし時、草花露   従三位為信
みだれふす野べの千種の花の上に 色さやかなる秋の白露

|②『続拾遺和歌集』巻第二 春歌下 96
|   文永四年内裏詩歌合に、春日望山   従二位行家
見わたせば色のちくさにうつろひて 霞をそむる山ざくらかな

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
※藤原為信(ふじわらのためのぶ)
※藤原行家(ふじわらのゆきいえ)