心を通わすお茶

NHK・Eテレの「趣味どきっ!」で、「茶の湯裏千家 心を通わすお茶」が2月3日(月)から始まっています。
亭主と客、そして客同士が一服のお茶を通して「心を通わす」ことができるのか、単に「もてなす、もてなされる」というよく有りがちな主従関係を越え、時空共に文字通り一期一会の一座建立と為し得るのか、タイトルには深い意味と切なる願いが込められているように感じます。

しかしながら、Eテレ「趣味どきっ!」は不特定多数の視聴者相手なので、常にゼロからのスタートです。

お茶席の作法、お菓子や薄茶のいただき方、薄茶の点て方、濃い茶のいただき方などは放送の度に取り上げざるを得ず、抹茶や炭、そして諸道具の話は興味付けのアクセントとして挿入されるのが大方のパターンとなっています。
番組は茶の湯への入口なので、これはこれで仕方ないことですし、イメージをアピールする上でとても大切な事であると思います。

心を通わせるお茶…。
味わい深い言葉です。

2月1日(土)にNHKBS1でオンエアされた半澤鶴子さん(76歳)の「女ひとりドイツ茶事行脚」を時折思い出しています。

数年前に放送された茶事行脚では、一面の雪景色の中、三角架を組んで野点風に茶を点てる姿が今でも記憶に残っています。

今回の茶事行脚の舞台は、はるか彼方のヨーロッパ、ドイツのブドウ農園や地方の町です。

一服のお茶を通して心は通い合うのでしょうか…。

映像は番組の趣旨に沿った形で編集されていますが、半澤さんご自身は勿論の事、番組を作り上げるために事前準備などで尽力されたであろうスタッフの方々のご苦労が偲ばれました。
放送では映らなかった今回の茶事行脚の舞台裏にも大きな興味が湧いた番組でした。

「こういう茶の湯もあるんだ!」というのが見終わった後の素直な感想です。

誠に不遜な言い方かもしれませんが、人それぞれにお茶がある、人それぞれのお茶がある、という思いを強くしました。(^O^)

様々な環境と大自然の中で、一服のお茶を介して互いに心を通わせる茶事行脚でもって、お茶が持つ力と可能性を追い求めていらっしゃる様に感じました。
また、道は何処までも続いているようにも思いました。

誰にでもできるようなことでは決してありません。
まさしく唯一無二の茶事行脚です。

※下の写真は日本国内。