四ケ村(しかむら)

春は「光」から始まる
夏は「水」の美しさ
秋は、透き通った「風」を聴く
冬は、「火」を見つめる
そして、季節は続く…。

上記の言葉から始まる森下典子『好日絵巻』(PARCO出版)は、自らスケッチしてきた数々の茶道具、お花、お菓子などのイラストをメインにして、季節を彩るエッセイを添えた、云わば『日々是好日』・『好日日記』に続く好日シリーズ三部作の一冊と云えそうです。
感覚的には、読むというより、見るといった方が近いのかもしれません。

掲載されているお菓子のイラストの中に、これまで見たこと、聞いたことのないお菓子銘「四ケ村」がありました。
白い練りきりで黄色の花芯を包んだように見える一品が、椿の葉の上に置かれています。

早速、ネットで調べたところ、松江・三英堂の和菓子であることが解りました。
三英堂のHPには以下のコメントが付けられています。

「松江藩主・松平不昧公が鷹狩りの帰途で、道沿いに咲く椿の樹をご覧になり、「この近隣の四つの村を見渡しても、これ程の品のある名花は
見たことがない。よって『四ヶ村(しかむら)』と命名する」と云われたといいます。
以後、この椿の所有者により代々大事に守り育てておられます。
冬の寒さの中に凜として花を咲かせる姿を本菓に調製いたしました。」

三英堂の冬を代表するお菓子とありましたから、もし冬場に松江を訪れるような機会があれば、「四ケ村」の花を愛で、銘菓「四ケ村」をいただきたいものだと思っています。

なお、松平不昧公が命名したという松江三大銘菓は、「山川」「若草」「菜種の里」となっています。(^O^)