百聞は一見に如かず 「遊々香」②
香道教室やお香会では、炷き出された香が何であるかを聞き当てる組香がよく行われています。
組香の香種、組み方、聞き方、答え方、そして記録の取り方などを記した「聞書(ききしょ)」と呼ばれるものは、その組香の全貌を理解するうえで欠かせないアイテムとなっています。
組香数は何百とありそうですが、必要な組香については市販の書物やインターネット上から、その内容を比較的容易に閲覧したり、ダウンロードすることが可能な時代となっています。
とは言え、香道は茶道や華道と同じく「実技」を伴う技芸の一つ。
実際に香を炷いて香りを聞くという作法の習得は、矢張り基本中の基本と云えそうです。(^^)
聞書の中でも、記録の取り方のサンプルはとても重要で「百聞は一見に如かず」ともいえる役割を果たしています。
香道教室やお香会などでも、記録紙を見ただけで組香の展開の仕方が推測、理解できるといった例は少なくないように感じています。
ひょんなことから、新作(と云っても数十年前)組香「遊々香」の記録紙の写真を見る機会がありました。
残念ながら「遊々香」が催されたお香席に参加したことはありません。
聞書に相当するものを見たことも聞いたこともありません。
この写真などを基にして「遊々香」の遊び方を勝手に独断で推測してみることにしました。
あくまでも推測なので、真偽のほどは定かではありません…。
◆香は四種
|春遊として 二包で内一包試
|夏遊として 同断
|秋遊として 同断
|冬遊として 同断
|※但し、当季の香は客として一包で無試(季節が春なら、春遊が一包で無試)
・香四種の内、当季のものを客として試みの一種を抜き、当季以外の三種を試みとして聞く。
・試みを終えた後、当季以外の香三包を打ち交ぜ、内から二包を除いた残り一包に、当季の香一包を加えた計二包を打ち交ぜ炷き出す。
・記紙には、各季の風物や香銘にて漢字二文字で答え、右肩に各季の名を書き添える。
・記録紙の点数の処には、二炷当たりには遊々、無当には一二三(うたたね)と記す。一炷当たり(当季の香)には、下の名目を記す。
・当季の香(客香)当たれば二点掛けとする。
春遊当たれば 花
夏遊当たれば 風
秋遊当たれば 月
冬遊当たれば 雪
※記録
(例)三月、当季が春なら春遊が客(端作りは、夏遊・秋遊・冬遊・春遊の順)
| 遊々香之記
| 春遊 秋遊
名 春花衣 秋雁金 遊々
名 冬吹雪 春春霞 一二三
名 春初桜 夏篝火 花
それなりに推測してみましたが、本当のところはどうなのでしょう…?
【追記】
概ね、OKのようです。(^^)
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3月は今日で終り、明日から新年度が始まります。
コロナ禍は収まるどころか、第四波とでも云えるような感染の再拡大、感染者数の増加が懸念されています。
残念ながら、自衛するしか方法がないようです。
春の花がいろいろ咲き出しています。
※ヒトリシズカ【一人静】
※ヤマブキ【山吹】
※シャガ【射干】