替寝覚香

先日の8日、「四季」で楽しむ組香④【草花香】の前書きで、四季[春・夏・秋・冬]を香名にしている組香は三つで、四季音信香、八景香、草花香と記していましたが、【替(かわり)寝覚香】が抜けていました。
四季[春・夏・秋・冬]を香名にした組香は、四季だから!なんてことには全く関係なく、四つありました。

「四季」で楽しむ組香⑦ 【替寝覚香】

◆香四種
一を春として 四包で内一包試
二を夏として 右同断
三を秋として 右同断
四を冬として 右同断

◆聞き方と記録
出香の春・夏・秋・冬それぞれ三包づつ四結びにして置きます。
四結びを結んだまま打ち交ぜ、一結び三包の内から二包除いた残り一包と、三包三結び九包を合わせた計十包を打ち交ぜて炷き出します。
春・夏・秋・冬の内、何れでも一包出たものを客とします。

春一炷と思えば 鶯
夏一炷と思えば 郭公
秋一炷と思えば 初雁
冬一炷と思えば 千鳥

記紙または札で答えますが、札のときは一二三客の札を打ちます。
客香は記録紙にうつす時に春夏秋冬の鳥名文字に替えます。
客の出により、本香の下に四季四鳥の歌一首を認めます。
点はつるびとなります。

鶯の香なれば
①ねさめしてまつそ聞つる軒ちかき竹の園にうくひすのこゑ
郭公ならば
②今はまた夜毎に鳴てねさめする人を待ちけるほとゝきすかな
初雁ならば
③今よりの秋のねさめもいかならん初雁かねの鳴きて来にけり
千鳥ならば
④かよふらんこと浦人の寝覚まておもひしられて啼く千鳥かな

◆記録紙

| 夏 冬 冬 秋 夏  ねさめしてまつは聞つる軒ちかき
| 冬  夏 秋 秋  竹の園にうくいすのこゑ
名 夏 冬 冬 秋 夏 冬  夏 秋 秋   全
名 郭公 冬 冬 秋 秋 春 春 秋 春 冬  二

◆メモ(歌の出処を探してみました…)
①『為世集』110
ね覚してまづぞ聞きつる軒ちかき 竹の茂みの鶯の声
②『為世集』16
今は又夜ごとに鳴きてね覚する 人を待ちける時鳥かな
③『新拾遺和歌集』秋歌下490 藤原雅冬朝臣
今よりの秋のねざめよいかならむ 初雁がねも鳴きてきにけり
④『続千載和歌集』冬歌634 為道朝臣
かよふらんこと浦人のね覚まで おもひしられてなく千鳥かな

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【替寝覚香】は、四季四鳥の啼き声と寝覚めを結び付けている処に特徴があるようです。
一方、晩秋によく催される【寝覚香】は、寝覚めのおもむきを題材にしているようです。

【寝覚香】
◆香四種
碪として 三包で内一包試 *碪=砧(きぬた)
鹿として 同断
虫として 同断
枕として 一包で無試(客香)
◆聞き方
試みを終え、碪鹿虫の三種六包打ち交ぜ、内より三包取り、これに枕の香一包加え四包にして打ち交ぜて炷き出します。
記紙(名乗紙)にて答えます。当りによって下の名目を聞きの下段に書き、点数は書きません。
全の人には 寝覚 と書く
三炷当りは 暁寝覚と書く
二炷当りは 旅寝覚と書く
一炷当りは 宵寝覚と書く
無聞きには 夢  と書く
◆記録紙
| 碪  碪  虫  枕
名 碪  碪  虫  枕  寝覚
名 碪  碪  枕  虫  旅寝覚

※解説等は市販本に詳しいです。(^^)

公園で見つけた秋の花・種です。

※キチジョウソウ【吉祥草】

※センニンソウ【仙人草】の種

※クチナシ【梔子】の実

愛知県の今日の新型コロナ新規感染者は9人。
振り返れば8月末に2300人超を記録していますから、一桁は夢のような数字です。

でも、まだまだ油断禁物ですね…。(^^)