七五三

今日11月15日は七五三の日。
男子は3歳と5歳、女子は3歳と7歳とに当たる年のこの日に氏神にお参りするのが習いとなっています。

『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)には、三歳の「髪置きの儀」、五歳の「袴着の儀」、七歳の「帯解きの儀」という、公家や武家が子どもの成長を願って行った別々の儀式に由来し、江戸時代に五代将軍・徳川綱吉が息子の徳松の袴着を祝った日にちなんで十一月十五日の日取りが定着した、とあります。

七・五・三は祝儀に用いる数。
奇数(一・三・・七・九)を目出度い「陽」の数として、その中の三つを取ったものですが、特に「五」は陽数のど真中の数となっています。

七五三縄(しめなわ)、六国五味、五臓六腑、陰陽五行などに、五の数が関わっています。

しめなわ【注連縄・標縄・七五三縄】は、藁(わら)を左縒りにし、わらの茎を三筋・五筋・七筋と順次に藁の茎を縒り放して垂らし、その間々に紙四手(かみしで)をはさんで下げる、と辞書にはあります。

※「広辞苑」より

六国五味、五臓六腑などは、ちゃんと陰と陽を踏んでいて(六と五で陰陽和合?)、陰陽五行に基づいているように思います。
六国五味は、数多の香木をその特性から六つの木所として六国に、その香りを食物の味になぞらえて五つの香味に分類する言葉となっていますが、さらに品位として上中下×上中下とする九品で表しているようです。

六国は、伽羅、羅国、真南賀、真南蛮、寸門多羅、佐曽羅
五味は、甘、苦、辛、酸、鹹

古書『六国列香之弁』には、香木の六国五味が次のように記してあります。

伽 羅 …其のさまやさしく、位ありて、を主(つかさど)るを上品とす。自然とたをやかにして、優美なり。其品たとへば宮人のごとし。
羅 国 …自然に匂ひするど也。白檀の如き匂ひ有りて、多くは苦を主る。たとへば武士の如し。
真南賀 …匂ひかろく艶なり。早く香のうするを上品とす。匂ひにくせ有り。たとへばのうちうらみたるが如し。
真南蛮 …味を主るもの多し。銀葉に油多く出る事真南蛮のしるしとす。然共、外の列にも有也。師説を受くべし。真南蛮の品、伽羅を初め其余の列よりも賤しく、たとへば民百姓の如し。
寸門多羅…前後に自然と事を主る。上品は伽羅にまがふなり。然共、位薄くして賤しき也。其品たとへば地下の衣冠を粧ふたるが如し。
佐曽羅 …匂ひひややかにして。上品は炷出し伽羅にまがふ也。自然にかろく余香に替れり。其品、たとへばの如し。

六国と『古今和歌集』仮名序にある六人の歌人(所謂、六歌仙)の出自・身分を「六」つながりでなぞらえてみると、次のようになります。

伽 羅 … 宮人 → 僧正遍昭
羅 国 … 武士 → 在原業平
真南賀 … 女  → 小野小町
真南蛮 … 百姓 → 大伴黒主
寸門多羅 地下 → 文屋康秀
佐曽羅 … 僧  → 喜撰法師

香木の五味について、志野流における香味がネット上では次のように記されています。(流派によって異なるようです)

伽 羅 …
羅 国 …
真南賀 …
真南蛮 …
寸門多羅…
佐曽羅 …

古書『六国列香之弁』の記述から推測すると、羅国と真南賀に該当する香味は辛・鹹のいずれかということになりますが、考慮の末?このようになったと思われます。
言うまでもなく、香木の香りは単独(一味)ではあり得ず、時間と共に推移する香りの中で、主たる特徴的な香りが味になぞらえてあると勝手ながら思っています。

なお、六国の陰陽は次のようになっています。(陰が三つ、陽が三つで陰陽和合?)

伽 羅 …
羅 国 …
真南賀 …陰
真南蛮 …陰
寸門多羅…
佐曽羅 …陰

因みに、五行[木火土金水]と五味の関係については、組香「五音香」の中で五色・五常・五方などと共に次のように記してありますが…。(実感が伴いません!)

木…酸
火…苦
土…甘
金…辛
水…鹹

なんだか、継ぎ接ぎだらけ、迷路に入り込んだ、我田引水の「七五三」になってしまいました。 (^^)

昔もいまも、子どもの健やかな成長を願う気持ちに変わりはありません。