芒種・入梅

一昨日の6日は二十四節気の「芒種」。(黄経75度)
江戸時代の『暦便覧』には、「芒(のぎ)ある穀類、稼種(かしゅ)する時なればなり」とあります。
稲や麦など、芒(のぎ)を持つ穀物の種をまく時期とされています。
尤も、最近は早めに作業が進んでいるようで、当地では田植えが終わったところ、最中のところ、これからのところと多少のずれはあるものの、近いうちに田植えは終わりそうな感じです。

そして、11日は暦の上での「入梅」。(黄経80度)
尤も、東海地方の梅雨入りは既に5月29日に発表されています。

この時季を題材にした組香に、大外組「梅雨香」があります。
この組香については、2017年6月15日のブログ記事で香種・聞き方・名目などについて紹介しています。

◆香は四種
仲夏として 三包で内一包試
芒種として 同断
夏至として 同断
雨 として 一包で無試

◆聞き方・名目など
出香は仲夏・芒種・夏至が各二包、雨が一包の計七包。
客香「雨」を別にしておいて、先ず出香一包を炷き出した後に、客香「雨」を加えた六包を打ち交ぜ炷き出します。これは、一炷目に客香「雨」が出ることを避けるための措置となっています。

名目として[五月雨、入梅][増水、梅雨、晴時]など、時候の語句が用意されています。
仲夏と仲夏の間に客香「雨」が出れば 五月雨
芒種と芒種、夏至と夏至の間に「雨」が出れば 入梅

雨ばかりの当たりは 増水
全当たりの人には  梅雨
無当の人には    晴時

札銘には[杜鵑、盧橘、菖蒲、柘榴、梔子、新竹、真薦、熟梅、雲峰、薬玉]など、この時季の言葉が並んでいます。

◆記録
記録紙にはジグザグの「千鳥」で記しますが、ここでは一行で記すことにします。
また、客香「雨」の出所により、雨と記す代わりに五月雨、入梅と記しますが、ここでは頭文字の五、入で記しています。

本香 仲 芒 雨 夏 芒 仲 夏

杜鵑 仲 芒 入 夏 芒 仲 夏 梅雨 全
菖蒲 仲 五 仲 芒 芒 夏 夏    三
真薦 夏 仲 五 夏 仲 芒 芒 増水 一
雲峰 夏 仲 夏 五 仲 芒 芒 晴時

この時季の花「夏椿」が咲きだしました。
別称は沙羅(しゃら)、一日花です。
実に潔い落ち方です。

この時季になると、妙心寺塔頭東林院の「沙羅の花を愛でる会」を思い出します。

公園で咲いていたモクレン科のタイサンボク【泰山木・大山木】の花も、そろそろ終わりでしょうか…。