重陽

昨日は、草木の葉に白い露が宿る頃という二十四節気の「白露」。(黄経165度)
『暦便覧』には「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となればなり」とあります。
残暑はまだまだ厳しく、猛暑日とはいかないまでも真夏日の暑さがしばらく続きそうです。
とは言え、朝方、窓を開けたときに流れる涼風にあたると、やっと秋が来たか…、と心が和みます。

今日9月9日は、最大の陽数(奇数)9が二つ重なるお目出たい重陽の節供の日。
五節供(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、別名は菊の節供。
尤も、元は中国から日本に伝わった旧暦九月九日の節供で、奈良時代から宮廷行事として宴が催され、菊花を浮かべた「菊酒」を酌み交わし、長寿を祝い、詩歌を詠んだようです。(かの菅原道真も…)
時代が下ると「菊合わせ」や「菊の着せ綿」なども加わり、菊の節供の色合いを増していったようです。

今でこそ、花屋さんには色とりどりの菊花が並んでいますが、我家の鉢植えの嵯峨菊はまだ花芽も付けていません。
矢張り「菊の宴」には旧暦九月九日が相応しいようです。(今年は10月23日)

今日は、知人からいただいた菊花粉末を酒に浮かべて「菊酒」とし、無病息災と長寿を願ったことでした。(感謝!)

※菊花のお飾りで遊んでしまいました。

重陽と云えば、香道の組香に「重陽香」があります。

◆香四種
一 として 二包に認め内一包試
二 として 三包に認め内一包試
初三として 三包に認め無試
後三として 同断

聞き方は、出香九包を打ち交ぜて炷き出します。
聞きの名目など、詳しくは2017.07.09付、2021.09.09付の当ブログで紹介しています。

引かれている漢詩と和歌が味わい深い組香となっています。(^^)
以下は『和漢朗詠集』にも載っています。

261 燕知社日辞巣去 菊為重陽冒雨開
265 我が宿の菊のしら露けふ毎にいく代つもりて淵となるらん

今日は9月9日。
案外「重陽」よりも「救急」の方がリアルかもしれませんネ。 (^^)

※公園のナンバンギセル【南蛮煙管】