遐齢香

昨日は祝日「敬老の日」でした。
「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」となっています。
報道によると、65歳以上の高齢者は総人口の29.1%を占め、80歳以上は「10人に1人」の割合に達したそうです。

香道には、長寿を祝う組香「遐齢香」が用意されています。
※遐齢(かれい)=長寿・高齢。(「遐」は遠くはるかの意)

◆香五種
一として 二包で内一包試
二として 同断
三として 同断
四として 一包で無試
五として 二包で内一包試

◆聞き方
試みの香四種[一・二・三・五]を終えた後、出香五包を打ち交ぜて炷き出します。
香五種を下記の歌の五句に配当して、記紙に書きつけて出します。

おのがへむ ちとせの末も しら鶴の 君にとのみや 契り置くらん

四の香を無試とするのは、四句目にあるように、己(おのれ)の齢を君にだけ譲るという祝儀からとか…。
この組香では、四の香をしっかりと聞き分けることが肝要のようです。 (^^)

◆記録
記録紙にも歌の一句をそれぞれ記します。
点数の処には、当たりの数に応じて[一句][二句][三句]と書き、全当たりには[一首]と書きます。

◆メモ
『題林愚抄』第26 賀 10639
(鶴有遐齢) 大宰帥親王実家
おのがへん千とせの末も白鶴の 君にとのみやちぎりおくらん

〔歌意〕自分が過ごすだろう行く末も、知ることのないほど長い歳月(千歳)を生きる鶴のように、(短い行く末の)私は君にとだけ契りおくのだろうか…。

この歌は、宮中または親王家・将軍家などで、多く正月十九日に行われた年始の歌会である「御会始(ごかいはじめ)」の歌なので、「君」が意味するところは、どうやら「君が代は…」と同じようです。

でも……、普通に長寿を祝う組香として楽しむのも一興と云えましょう…。 (^^)

公園通路脇の草地にいた白鶴ならぬシラサギと呼ばれるサギ類のダイサギ【大鷺】です。
普段目にする池のほとりではなかったのでビックリしました。

昨日は七十二候の「玄鳥去(つばめさる)」。
春先に飛来してきた燕が南の国へと渡って行く頃です。
今年は燕の姿を見る機会が随分少なかったように感じていますが、環境の変化が個体数の減少に影響しているのでしょうか…。

明日は「彼岸の入り」。
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、連日の暑さが治まってくれるといいのですが…。