青海波
今日5月5日は「端午の節供」の日。
元は五節句の一つ旧暦五月五日の行事で、ものの本には「端午は月初めの「午」の日の意味で、「午」は発音が「五」に通ずることと重日思想から」とあります。
陰陽五行説では、一・三・五・七・九の奇数は陽数で、それらが重なる日、即ち一月一日、三月三日、五月五日、七月七日、九月九日を、それぞれ人日(後に一月七日)、上巳、端午、七夕、重陽の節供として祝う習いが今に伝わっています。
この日には、邪気を払うとされる菖蒲(しょうぶ)の葉を入れた菖蒲湯に浸るのが習いとなっています。
菖蒲には独特の鮮烈な香りがあり、如何にも邪気を払ってくれそうな気分になります。
菖蒲湯には昨日(一日早い!)浸り、今日は定番の柏餅と粽をお抹茶と共にいただきました。
また、今日は二十四節気の「立夏」。(黄経45度)
暦の上では今日から夏ということになります。
天明七年の『暦便覧』には「夏のたつがゆへなり」とあります。
奇しくも今日は青空が空いっぱいに広がり、新緑のグラデーションは目にも鮮やか、薫風に翻る木葉が輝いていました。
名古屋の最高気温は27.0℃の夏日、初夏の陽射しがまぶしく感じられる暑い一日でした。
※バイカウツギ【梅花空木】
❖
外盤物組香をシリーズで紹介しています。
外盤物⑤「源氏舞楽香」
◆香六種
青海波として 三包に認め内一包試
秋風楽として 同断
春鶯囀として 同断
柳花苑として 同断
光源氏として 一包に認め無試
朧月夜として 同断
◆聞き方
試み終わりて、八包打ち交ぜ(光源氏、朧月夜を除き置き)、四包ずつに分けて、四包に光源氏を加えて五包を炷き、次に残りの四包に朧月夜を加えて五包炷き出します。
(別法)試み終わりて、出香十包を打ち交ぜ炷き出します。
◆記録(紅葉賀方、花宴方に分かれ、当りだけを記す)
| 青柳源秋柳青春春朧秋
札名 青 源秋 青春 朧秋 七
◆盤
盤一面、源氏人形(紅葉賀方)、朧月夜(花宴方)、幔幕二、串四本、櫻意五本、紅葉(椛)五本、菊折枝五つ、檜扇五つ、太鼓、鉦鼓、羯鼓(かっこ)、笛、笙(しょう)、琴、篳篥(ひちりき)、源氏装束は冠指貫、朧月夜は十二単衣。
平成8年に名古屋・徳川美術館で「香(かおり)の文化」展が開催されました。
同展図録には東京国立博物館蔵「十組盤」の写真が載っています。下は「舞楽香」の盤一式です。
解説には、「『源氏物語』「紅葉賀」と「花宴」に因んで源氏と朧月夜の人形男女に分かれ、舞楽の楽器を立てる」とあります。
◆メモ(以下の出典は『広辞苑』/『日本国語大辞典』) ※YouTube上に舞楽の動画あり
・せいがいは【青海波】…雅楽の唐楽、盤渉調(ばんしきちょう)の曲。管弦にも舞楽にも用いる。中国の青海地方の風俗楽か。二人舞。舞人は青海の波と千鳥の文様をあしらった別装束を着け、千鳥の螺鈿(らでん)の太刀を帯びる。舞楽中、最も華麗優雅な名曲。/ 源氏物語(紅葉賀)「源氏の中将はせいかいはをぞ舞ひ給ひける」
・しゅうふうらく【秋風楽】…雅楽の唐楽、盤渉調(ばんしきちょう)の曲。四人舞。現在廃曲。/ 源氏物語(紅葉賀)「承香殿の御はらの四のみこ、まだ童(わらわ)にて、秋風楽舞ひ給へるなむ」
・しゅんのうでん【春鶯囀】…(囀は、さえずる意)雅楽の唐楽、壱越調(いちこつちょう)の大曲。6部から成る華麗な曲。管弦では颯踏(さっとう)と入破(じゅは)の2部だけが奏される。四または六人舞。舞人は襲(かさね)装束に特異の甲を用いる。/ 源氏物語(花宴)「春の鶯囀るといふ舞、いとおもしろく見ゆるに」
・りゅうかえん【柳花苑】…雅楽の唐楽、双調(そうじょう)の曲。舞は廃絶。/ 源氏物語(花宴)「柳花苑といふ舞を、これはいますこし過ぐして」
・光源氏…(略)
・朧月夜-朧月夜尚侍(おぼろずきよ-の-ないしのかみ)…「源氏物語」に出てくる女性。右大臣の六女。弘徽殿(こきでん)の女御の妹。東宮(のちの朱雀院)の妃になる予定だったが、光源氏と結ばれ、源氏が失脚して須磨へ下る原因となる。(出典『日本国語大辞典』)
※文様ー青海波(『広辞苑』より)