雛祭り
今日3月3日は、五節供の一つである上巳(じょうし)の節供。
雛祭り、桃の節句ともよばれています。
元はと云えば、中国伝来の旧暦三月三日の行事ですが、明治五年の改暦に伴い、日付はそのまま新暦3月3日に移行して現在に至っています。
日本では、新暦3月3日、月遅れの4月3日、旧暦三月三日と、地方色豊かにトリプル日付で楽しまれている上巳の節供です。
本来は旧暦三月最初の巳(み)の日の行事で川で禊を行なったようですが、中国三国時代に重陽思想とも相まって三月三日に固定されたものだとか…。
近年、当方ではもっぱら上賀茂神社の葵の御鈴を床に飾って省エネ雛飾りとしています。
この日には、かってNHKEテレ「グレーテルのかまど」で紹介された松江の花餅(いが餅)を作っています。
今年の出来は、近年にない上々の仕上がりとなりました。 (^^)
写真の花餅は、左上から時計回りに「菊・富士山・鯛・大黒・扇」型となっています。
もう一つ、この日には「散らし寿司」と「ハマグリの吸物」を食することにしています。
美味・美味!! (^^)
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ネット上の志野流香道組香目録を見ると、内十組・三十組・四十組・五十組・外組・外盤物十組の内に、計227の組香名が挙げられています。
これら以外にも、新作を含めて組香はたくさん伝わっていて、「替十組香之書」にある「第三番」もその一つです。
これは、「十種香」の試香と出香の炷き出し順を逆にしたもので、先ず出香十包を炷き出して、連衆は「十炷香」の如く答えます。その後に試香を炷き出して、連衆は試香[一ニ三]とウが先の十炷香のどれに該当するかを答えるというものです。
十種香(有試)および十炷香(無試)の経験者を対象とした組香と云えそうです。
実は、この組香は外組16番「晩夏納涼香」と同じ聞き方・答え方・合点の掛け方となっています。
以下に「第三番」の概略を紹介します。
【替十組 第三番】
◆香四種
一として 四包に認め内一包試
二として 右同断
三として 右同断
ウとして 一包に認め無試
◆聞き方・答え方
・先ず、出香十包(一ニ三各三包とウ一包)を打ち交ぜて炷き出す。連衆は、答えを十炷香の如く聞いて札を打つ。
・次に、試香一ニ三を順次炷き出す。連衆は、自分が打った札(一ニ三客)が試香一ニ三とウのどれに該当するかを記紙に答える。
[記紙例]二三ウ一……打った一の札は試香二を、二の札は試香三を、三の札はウを、客の札は試香一を意味。
・初めの十炷香の如く聞いた処がつるびで合っていても、後の試香と合致していなければ点は無い。
◆記録例
本香 二三三ウ一二三一一ニ
①名 一二二三ウ一二ウウ一 二三ウ一 全
②名 一二二三ウ一二ウウ一 二一三ウ 三
③名 一二三三ウ二一一二三 二三ウ一
十炷香で聞いた処を試香に合わせて読み替えると、
本香 二三三ウ一二三一一ニ
①名 一二二三ウ一二ウウ一 二三ウ一 全
読替 二三三ウ一二三一一ニ
②名 一二二三ウ一二ウウ一 二一三ウ 三
読替 二一一三ウ二一ウウ二
③名 一二三三ウ二一一二三 二三ウ一
読替 二三ウウ一三二二三ウ
①名の答えは本香とすべて合っているので全当たり。
②名の十炷香の答えは①名と同じだが、読み替えで分かる通り、試香の二の香(打った札は一)だけがつるびで合っているので三点。
(因みに②名は、一の札は試香の二、二の札は試香の一、三の札は試香の三、客の札はウと答えている)
③名の答えは一番目、二番目、四番目、五番目が本香と一致しているが、つるびでは合っていないので無点(0点)。
[メモ]
この組香は、初めの十炷香は完璧でも、試香との一致がなければどんでん返しの0点もありうるので、後で聞く試香の聞き分けがとても大切です。
この組香は、答えの読み替え、つるびの点掛けなど、執筆泣かせの組香であることは確かなようです。
この組香の聞き方・答え方・合点の掛け方は、志野流香道組香目録にある外組16番「晩夏納涼香」と同じです。尤も「晩夏納涼香」ではウ香の出に応じて、記録に詩または歌が書き添えられます。
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外組16番【晩夏納涼香】
香四種
一として 四包に認め内一包試
二として 右同断
三として 右同断
ウとして 一包に認め無試最初に一二三の試香を除き置き、先ず出香十包を打ち交ぜて炷き出す。十炷香のごとく札を打つべし。十包聞き終りて、次に試香を一より順々に炷き出す。尤も一二三を名乗りて出すべし。試み三種聞き終りて名乗紙に書き付け出す。たとえば我一の札を入れたる香は試みにては二の香なり。二の札打ちたるは三の香、三の札打ちたるは一の香などと聞き、客の香は何番と思えばあるいは五番目に出てもいまだ三の香一種も出ずうちは客の文字三番目に書く。一二も是に順じて知るべし。一二三の香一種づつにても残らず出たらば四番目より十番目までも客の文字は四番目に書くべし。客札は無試打ち替えにもすべし。後、記紙には出香二三ウ一と出たるは其の頭字ばかり四字書き付け出すべし。頭字とは香の出初めたるを云う。右、初め当らずは後二炷づつ六炷当りても点なし。其の外、筆紙に尽くし難し。猶、記録の認め様、又は点にて能々考うべし。此の組香至って聞き分け難しといえどもよく正傍を分かつ事、後の試みにあり。たとえば初十炷全にても、後の試み聞き違うれば名乗紙に引き合わせ無点にもなるなり。是、正聞にあらざるゆへなり。また初めの聞き、点少なしといへども正聞なれば後点同前なれば点あるなり。前後心を付けて聞かざれば誤るなり。能々考うべし。此の組香、晩夏納涼香と名付けたる事は左の詩歌による。
池冷水無三伏夏 松高風有一声秋
まつ陰の岩ゐの水を結ひあけて夏なきとしとおもひけるかな右の詩歌によりて組む所なり。たとへば初ウのときは詩の上句を本香の下に書く。又一二三の香出揃わぬ前にウ香出れば下の句を書き、一二三の次に出れば本香の下に歌一首書く。捨ウの時は記録の奥に歌書くべし。詩は両句とも本香の下なり。尚、記の面にて能々考うべし。左のごとし。
(記録例 略)
きろく是に順ずべし。