季節の香りを聞く

今日は旧暦の十月一日、亥の月の朔日です。
旧暦十月と云えば神無月。
尤も、神話のふるさと出雲では出雲大社に神々が集まることから神在月とも呼ばれているそうです。
出雲大社のHPを見ると、旧暦十月十日にあたる今月29日には稲佐の浜で神迎神事が催されるようです。
全国の神々を迎えるとは、なんと壮大な…。 (^^)

『家庭画報』に1月号から連載されていた「季節の香りを聞く」が12月号で完結しました。
志野流香道21世家元・蜂谷一枝軒宗苾宗匠のコメントを添えた各月の代表的な組香一つとその証歌、各月の志野袋花結びと当該の花が一ページにまとめて紹介してあります。

証歌の大きな文字と花結びの大きな写真が印象に残る見栄えの良いページとなっています。

各月の志野袋花結びと組香・証歌は以下の通りです。

<一月>
花結:梅花
組香:萬歳香
証歌:わが君は千代に八千代に細石の巌となりて苔のむすまで
<二月>
花結:桜花
組香:桜香
証歌:おしなべて花の盛りになりにけり山の端ごとにかかる白雲
<三月>
花結:藤
組香:雉子香
証歌:春の野にあさる雉子の妻恋に己があたりを人に知れつつ
<四月>
花結:葵
組香:時鳥香
証歌:ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる
<五月>
花結:菖蒲
組香:菖蒲香
証歌:五月雨に沢辺の真薦水越えていづれ菖蒲と引きぞわづらふ
<六月>
花結:蓮
組香:蓮葉香
証歌:蓮葉のにごりに染まぬ心もてなにかは露を玉とあざむく
<七月>
花結:朝顔
組香:空蝉香
証歌:空蝉の身をかへてける木のもとに猶人がらのなつかしきかな
<八月>
花結:桔梗
組香:篝火香
証歌:篝火に立ちそふ恋の烟こそ世には絶せぬほのほなりけり
<九月>
花結:菊
組香:菊合香
証歌:秋風の吹き上げに立てる白菊は花かあらぬか浪の寄するか
<十月>
花結:紅葉
組香:女郎花香
証歌:小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経にけむ秋を知る人ぞなき
<十一月>
花結:水仙
組香:時雨香
証歌:木の葉散る宿は聞き分くことぞなき時雨する夜も時雨せぬ夜も
<十二月>
花結:雪持笹
組香:冬月香
証歌:朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪

外組57番【二組同香】

香四種(二組)
一として 三包に認め無試
二として 右同断
三として 右同断
客として 一包に認め無試

右、十炷香同香にて二組にして一組づつ別々に分け置く。先ず一方の一組を常の十炷香のごとく無試に聞くなり。さて本香を先に開き記録に写す。此の時、右の香の出を各よく覚え置く。次に一組聞くとき、是を試みとして正札打つべし。始めの組香より点数少なきを恥辱とす。甚だ聞き分けがたきものなり。記録は後の組香の内に初めの聞きを記録へうつすべし。後の一組は香元見合せにて火合よろしき時は引継ぎ炷き出すべし。さもなければ後座にもすべし。時宜によるべし。記録は二枚重ね也。上客へ遣わすべし。常の二組の式と同じ心得なり。一組後座になる時は、先ず一組の記録上客へ出すもよし。兎角時宜見合せたるべし。又、始め一組を記紙にて聞き、後一組を札にても聞くなり。なお記の面にて考ふべし。左のごとし。初めの記録の図なり。

(記録例 略)

右に順うべし。後の記録、左のごとし。

(記録例 略)

きろく是に准ずべし。