秋の大茶会
秋晴れの11月3日(文化の日)、中日新聞・中日文化センター主催の「秋の大茶会」に出かけました。
会場は昨年に続き、名古屋・八事の「八勝館」です。
今年は暑い日が続いたためでしょうか、紅葉が遅いようで楓はみどりみどりしていました。
裏千家、表千家、武者小路千家、煎茶・松風流、香道・志野流の五流派がそれぞれの趣向で席を設けていました。
各席とも、大勢のお客で終日賑わっていたようです。
「会記」によると本席の床にかかっている掛物は次の通り。
濃茶席(裏千家)…徳川慶勝公筆「養寿」・大徳寺七六世古嶽宗旦筆「偈頌」ほか
薄茶席(表千家)…即中斎筆「秋菊有佳色」
薄茶席(武者小路千家)…宗義和尚筆「把手共行」・不徹斎筆「有朋自遠方来」
煎茶席野点(松風流)…扇面「吟風一様松」黄檗第六十代山主仙谷泰山筆
聞香席(志野流)…幽求斎筆「香」
聞香席の組香は「源氏香」でした。
正解者・満点者には点数の処に「玉(ぎょく)」と書かれる組香ですが、満点「玉」はなかなか得難い組香と個人的には思っています。
NHK大河ドラマ「光る君へ」の影響でしょうか、今年は各地の香席で「源氏香」が催されているようです。
現在用いられている縦線五本の「香図」に「源氏物語」の巻名五十二を配した「源氏香図」は、香が庶民にも普及した江戸時代1700年代の中頃、書物に著わされたものと理解しています。
300年近い歴史を持つ「源氏香図」は、その意匠デザインの素晴らしさから、組香「源氏香」よりも圧倒的に認知され普及しているように思います。
「源氏香図」は着物や帯、棗・茶碗といった茶道具、その他諸々に広く利用されているようです。
お菓子の世界でも、源氏香図に植物を配した押物(おしもの)が京都「虎屋」で作られているようです。
当日、受付に置いてあったのは「紅葉の賀」の押物。
畑正高「香三才」(東京書籍)の口絵には押物五種が載っています。
左側上から順に、柏木、花の宴、朝顔
右側上から順に、桐壺、紅葉の賀
淡交別冊「京菓子」によると、虎屋には源氏香図と植物意匠を組み合わせた「桐壺」「花宴」「紅葉の賀」「源氏朝顔」「源氏常夏」「梅が枝」「柏木」の木型が残っているそうです。
本に記してある通り、「五十四帖分、全部そろっていたら…と思わずにはいられません。」
なお、「桐壺」「夢の浮橋」の二帖分は、それぞれ「賢木」「行幸」と同じ形にすることもあると記してあります。
※写真にある押物・桐壺の香図は、確かに賢木の香図です。 (^^)
資料によると、一個の本体価格は1320円(重量120g)、箱代が別途必要とあります。(要予約)
八勝館での「秋の大茶会」は絶好の茶会日和となり、一日楽しませていただきました。
諸流派による大寄せの茶会は楽しいものです。 (^^)