東京は人また人
先日、スマホの乗換案内に長けた達人に連れられて、久しぶりに(ほとんど10年ぶり?)東京へ出かけました。
お目当ては西新井の総持寺で催された「お香とお茶の会」、そして静嘉堂文庫@丸の内で開催中の展覧会です。
東京駅は人また人でごった返していましたが、互いに衝突する事も無く見事に各々目指す方向へ流れていました。
とにかくとにかく、人の多さには圧倒されました。
総持寺の会場受付で、お香席を先ず予約しておいて、表流の薄茶席に入りました。
長生庵社中の担当でしたが、お点前はナント逆勝手でした。珍しい!
最近は、火の元の心配から炉・炭を使わない点前が多いようですが、お席の素地鳳凰風炉は初めて拝見しました。
商売繁盛を願う?お茶碗の銘「入舟」などに、亭主の遊び心が感じられました。
昼食・おしのぎは東京・三友居のお弁当。
とても美味しい彩り豊かなお弁当に「流石は三友居さん」との声があがりました。
西新井大師・総持寺の大本堂は壮大な建物でした。
雲一つない真っ青な青空の下、七五三の晴れ着を着た親子連れを何組も見ました。
境内には露店が並び、大勢の人で賑わっていて、単線往復の東武大師線がわざわざ引かれているのも頷けました。
空の条件が良かったのでしょう、下弦の月を昼前まで西方の空に望むことができました。
午後に入ったお席は志野流の香席、組香は「初冬香」でした。
残念ながら全中の「初冬」とはなりませんでした。 (^^)
床の掛物は「終日對炉香」。
気持ちだけでもそうありたいものだと少しだけ?思いました。
続いて、松月流の煎茶席へ。
煎茶は[お茶→お菓子→お茶」の流れになるとの説明がありました。
一煎目のまったりと甘みさえ感じる極上のお茶に、煎茶道の真髄があるように思いました。
美味しい!
予定通り三席回って会場を後にし、東京駅へ戻って人また人の雑踏を抜けて明治生命館へ向かいました。
お目当ては、静嘉堂文庫美術館@丸の内で開催中の「平安文学、いとをかし」展。
一階フロア中央のロビーを囲むように四つの展示場が配され、国宝・重文を含む貴重な古典籍などが展示されていました。
第一章は「平安文学の世界へようこそ!」として、紙本墨書の和漢朗詠集(鎌倉時代)や古今和歌集(伝 頓阿)など
第二章は「絵巻物で読む物語」として、紙本着色の平治物語絵巻 信西巻(鎌倉時代)など
第三章は「時代を超える『源氏物語』」として、紙本墨書の紫式部日記(江戸時代)や紫式部図(土佐光起)、国宝の源氏物語関屋澪標図屏風(俵屋宗達)など
第四章は「平安古筆と料紙装飾の美」として、高野切[古今和歌集巻十八断簡](平安時代)や国宝・倭漢朗詠集太田切など
香道には和歌・漢詩・物語・花鳥風月などが組香の題材とされていますが、和歌朗詠集や古今集、そして源氏物語などは基本のキともいえる古典籍で、昔々の写本実物が見られるとは嬉しい限りでした。
昔の写本が残っていて、実際に美術館で見ることができるのは日本文化の誇りとの思いを強くしました。
写真は、曜変天目茶碗だけを除いて撮影しても良いとのことでしたが、スマホのバッテリーが少なくなっていて、数点だけの撮影になりました。
※和漢朗詠集
※源氏香透冠型香炉
※紫式部図
第四展示室中央には、同館所蔵の国宝・曜変天目(稲葉天目)が単独でケース内に飾られていました。(コレのみ撮影不可!)
この茶碗だけでもお客を呼ぶことができると云われる天下の名品です。
下は、以前、世田谷の同美術館で茶碗が出品された際に、記念に購入した曜変天目(稲葉天目)の絵葉書です。
曜変天目茶碗と云えば、日本に三点だけ残っていて、いずれも国宝に指定されています。
①東京・静嘉堂文庫美術館蔵
②大阪・藤田美術館蔵
③京都・大徳寺龍光院蔵
※左から③・①・②
矢張り、静嘉堂文庫蔵の曜変天目が一際抜きん出ていると思います。
久しぶりの東京、お香席・お茶席・美術館を満喫し、楽しい満腹の一日となりました。
東京駅前のKITTEに飾られていた大きなクリスマスツリーです。