着せ綿

昨日15日は「敬老の日」でした。
カレンダーを見ると「老人週間」とありますから、まぁ、そういうことでしょう。
新聞によると65歳以上の高齢者は総人口の29.4%、3619万人だそうですから、10人に3人は高齢者(=老人ではありません!?)ということになります。
とは言っても、昨今の65歳はまだまだ働き盛りですから、この先、高齢者の定義が70歳、75歳と延長される可能性も無きにしも非ずということになります。 (^^)

先週の9月9日は重陽の節供でした。
菊酒、菊水、菊の被せ綿(着せ綿)など、無病息災・不老長寿を願う習わしは今に伝えられています。
そんな習わしを茶席に表現されていたのが、昨日の熱田神宮月次茶会の薄茶席(席主=永坂正行氏)でした。
掛花入れには、なんと菊の被せ綿!
白い菊には黄色の、黄色い菊には赤色の、赤い菊には白色の真綿をかぶせて、近世期の宮中作法が見事に再現されていました。
掛物は、玄伯宗旦の「人生七十…」(長文でした!)の書。
お菓子はきよめ餅製の「仙桃」で、形と色から一目で桃とわかる饅頭。
席主さんの三千年の桃に纏わるお話も面白く、組香「三千年香」を思い出しました。 (^^)
席主さんの遊び心たっぷりの設えと取り合わせに、いつもながら深く感じ入り美味しいお茶を味わった次第です。

濃茶席の席主は松尾流・松尾宗典家元。
お席がエアコン完備の千秋閣になっていたことは、個人的には何よりのご馳走?でした。
寄付きの掛物は画賛「清風万里秋」、本席の掛物は半古斎筆「暫遊」(ざんゆう)。
お菓子はきよめ餅製「水面の月」、銘の通りに月を思わせる餡を半透明の波状の葛で挟んだお菓子でとても美味でした。
茶銘は妙香園の「初昔」、美味しいお茶でした。(松尾流は各服点)
昨今の抹茶の異常な高騰を思い、茶券のお値段はこれで大丈夫かしらんと無粋な心配をしてしまいました。
そうそう、お道具席に鎮座していた近衞家煕(予楽院)の茶杓が一際輝いていました。 (^^)

一日、久しぶりに出かけた熱田神宮月次茶会をしっかり楽しませていただきました。感謝・感謝!

※カリガネ草【雁金草】

外組47番【探題香】

香二種
仮名として 三包に認め内一包試
真名として 右同断

右、試香終りて本香四包打ち交ぜ炷き出す。試みに合せて札打つべし。聞き様、左右と分けて両方両人づつにて勝負をわかつべし。尚、記録の面にて考ふべし。

左の方はかな札の紋
かくら ともし みそき ひむろ あしろ
右方、真名札の紋
緑竹 弾琴 窓前樹 遠村煙 弧山月

札裏かな二枚、真名二枚づつ有り。

(記録例 略)

きろく是に准ずべし。