香道一口メモ・21
志野流香道の先代家元・蜂谷幽求斎宗由宗匠が、かって中日新聞に連載されたという「香道一口メモ」を見る機会があり、あらためて文字を起こして、先月からblogにアップしています。
全体像はいまだ見えていませんが、ボチボチと無理せず?継続していきたいと思っています。
口伝とか秘伝とか、とかく秘密主義が横行するのが伝統芸能の習いとはいえ、史実と伝承の境目が妖しくなってきていることもあるように思いますが、それもまた伝統芸能の伝統芸能たる所以と云えるのかもしれません。
推古天皇三年(595年)に淡路島に漂着したという沈香木にまつわる以後のお話も、伝承、また伝承で確たる資料がなかなか見つかりません。
香道一口メモ21【漂着の香木②】
聖徳太子は、かねて香木を入手し仏像の製作を願っていた。はからずも献上されたので百済工に彫刻させたと。真実味が濃くなり、これが法隆寺の夢殿の観音像だといい伝えている。その余材に「手箱の太子」と付銘された。後世の代表的名香の「法隆寺」もその余材とか。なお「太子」という香木が正倉院の献納御物として現存しているそうだ。
六十一種名香中、第一番目に記載されているのが「法隆寺」で、木所は佐曽羅、味は苦甘酸とされているようです。
因みに、二番目に記載されているのは「東大寺」で、木所は伽羅、味は甘苦辛酸鹹。
なお、法隆寺の夢殿に現存する観音像は身の丈180cm弱で、聖徳太子の写しとも言われているようですが、材は楠の一木とか…。
今年も、10/22~11/22の期間、夢殿秘仏・救世観音菩薩立像は開扉され、拝観することができるそうです。
ぶら~りと行ってみようかな…。
※冊子『香の文化』より「東大寺」。(徳川美術館所蔵/34.1グラム)