香道一口メモ・三つ具足
香道一口メモも60回を数えます。
志野流先代家元・蜂谷幽求斎宗由宗匠が中日新聞に連載していたと云われる「香道一口メモ」です。
今回は三つ具足の香炉・燭台・花瓶のお話。
今では専ら仏前の飾りとして見ることが多いと思いますが、お茶の世界でも利休忌などでは三つ具足を飾って故人を偲ぶようです。
利休は、天正十九年二月二十八日(旧暦)に秀吉の命を受けて切腹していますが、毎年月遅れの3月末に、三千家では利休忌が催されると聞いています。
三つ具足の座敷飾りについては、足利義政の同朋衆の一人・能阿弥の作とも云われる『君台観左右帳記』に記されているようです。
香道一口メモ・60【香室①】
足利義満の時代には書院造りに会所という場があり、そこで座敷飾りをし茶も花も香も一緒に行っていたようだが義政の時代になると茶は茶室、香は香室と独自の室を作って行われるようになった。なお、書院造りが普及したころ、仏間用の室の壁面に仏画や花鳥の絵を掛け、前に台を置き、香炉、花びん、燭(しょく)台の三つ具足を飾ることが起きていた。
■利休忌、三つ具足を用いた床飾り
※『茶席の香』(淡交社)より
置き方は、床に向かって(像に向かって)、左に花瓶、中央が香炉、右に燭台となります。