松隠軒「聞香始め」
松隠軒の「聞香始め」に出かけました。
門をくぐって玄関まで続く敷石の脇には忍が青々と茂っていました。
最初に通されたのがお茶席。
青磁の花入れには牡丹が古木を添えて入れられていました。
露が打たれ、今にも開きそうな瑞々しさと色合いは誠に絶妙で、思わず見入ってしまいました。
美しいの一言で、流石は百花の王と云われる由縁です。
次はお香席。
本日の組香は御目出度い「三星香」。
福星、禄星、寿星と名付けた三種の香、それぞれに試みがあり、出香は福星、禄星、寿星各一包の計三包を打ち交ぜて炷き出すというもので、三つとも当りなら、点数の所に「福禄寿」が書かれるという組香です。
いい香りでした…。
最後は、点心席に移り「志ら玉」調製の美味しい点心をいただいて、松隠軒を後にしました。
※煮物椀とご飯付きです。
今年も節目節目を大切にして、「季節のように生きる」ことは難しいまでも、少しは心がけながら過ごしたいと思っています。
香道の心得 ◆睦月◆ (5)
周知のように蓬萊飾りと申して新年嘉祝の意をあらわす野や山海の種ぐさを、〝三方〟に盛りますが、香室では、その品々を紐結びの鶴亀などで表現させているのです。結び物は他方面にも見受けられます。私共には十二ヶ月花(表結び)と十二の裏結び、それに鶴・亀・海老ほか数個が伝わっています。花形はさほどむつかしくありません。ですが、鶴などは長い一本の色紐―鶴・白、亀・緑、海老・朱―で、いかにもそれらしく形作らねばなりませんから容易ではありません。それだけに完成品は見事ですし、晴れやかな飾り物となります。